消化器系疾患分野|新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)(平成23年度)
しんせいじしょくもつたんぱくゆうはついちょうえん
| |
1. 概要 | |
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)は1995年頃から急激に報告数が増加してきた。食物蛋白による消化管炎症が本態である。出生当日に発症する場合もあり、新生児期の発症が多い。診断が難しいことも多く、重い合併症を残すことがある。即時型食物アレルギーなどと違い、原因食物特異的IgE抗体は検出されないことも多く、病態に本質的にはかかわっていないと考えられている。正確な診断検査法は確立の途上にあり、診断的治療とそれに続く原因食物負荷試験により診断が確定される。 | |
2. 疫学 | |
発症率は0.21%であり、年間2000名程度が発症していると考えられる。 | |
3. 原因 | |
消化管に原因食物蛋白に反応する免疫細胞が存在し、食物蛋白が摂取された場合に症状が出現する。細胞性免疫が主体と考えられており、即時型食物アレルギーと比して、治療用ミルクなど小分子によって反応が起きやすいことが特徴である。 | |
4. 症状 | |
嘔吐、血便、下痢、体重増加不良、発熱などが見られる。欧米の類縁疾患と比して嘔吐と血便が合併する患者が多い。 | |
5. 合併症 | |
約10%の患者は合併症をきたす可能性があり、腸閉塞、消化管出血による貧血、ショック、成長障害などが見られる。 | |
6. 治療法 | |
合併症がなければ、原因食物を除去し、代替食物を摂取することで改善する。合併症がある場合はその治療が必要である。多種の食物を摂取している月令の児では原因食物の特定が困難なことがある。詳細はホームページを参照(http://www.nch.go.jp/imal/FPIES/icho/index.html ) | |
7. 研究班 | |
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)の疾患概念確立、実態把握、診断治療指針作成に関する研究班 | |