消化器系疾患|Microscopic Colitis(顕微鏡的大腸炎)(平成23年度)
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1. 概要 | |
原因不明の慢性腸管炎症により下痢を主徴とする消化管吸収機能異常を呈する疾患。病理学的特徴により、膠原繊維の蓄積を特徴とするCollagenous colitisと上皮への炎症細胞浸潤を特徴とするlymphocytic colitisに大別される。 | |
2. 疫学 | |
患者数は約10000人と推定されているが、我が国における疫学調査資料は未だ存在しない。 | |
3. 原因 | |
確立した疾患概念がないために、動物実験モデルもなく、従って原因解明のための研究が全く進んでいない。薬剤が原因となることが知られている。 | |
4. 症状 | |
頻回の水様性下痢を主症状とし、再燃と寛解を繰り返す。重症例では1日の排便量が5000mlを越えることもあり、動悸などの強い脱水症状を呈することがある。脱水から腎不全を合併した場合には入院治療、時として血液透析が必要となることもある。 | |
5. 合併症 | |
重症例では低カリウム血症が原因となり致死性不整脈(突然死)を合併することがある。同様に消化管穿孔を合併し外科治療が必要となることがある。他に甲状腺機能異常、セリアック・スプルー、糖尿病、慢性関節リウマチ、気管支喘息の合併が知られている。病気の合併ではないが、後述するように長期に中心静脈栄養が必要となる症例では、関連してカテーテル感染症、肝機能障害(肝不全)などが問題となることもある。 | |
6. 治療法 | |
軽症例には原因薬剤の中止、食事指導(カフェイン、アルコール、乳製品の摂取制限)、投薬(止痢剤、陰イオン交換樹脂、副腎ステロイド剤、アミノサリチル酸など)が効果を示すことがある。しかし、いずれも病態に即した治療ではなく、無効例、特に重症例では手術療法(大腸亜全摘+回腸人工肛門の造設)が必要となりうる。また、中心静脈カテーテル留置後に中心静脈栄養及び大量の輸液が必要となることもある。 | |
7. 研究班 | |
難治性腸管吸収機能障害Microscopic colitisに関する調査研究班 | |