血液・凝固系疾患分野|血球貪食症候群(平成23年度)

けっきゅうどんしょくしょうこうぐん
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1. 概要

家族性血球貪食症候群はリンパ球の細胞障害性顆粒の産生および搬送・分泌過程を制御する遺伝子群の異常により、マクロファージやリンパ球の過剰反応が持続し、多様な臓器障害が引き起こされる。生後すぐに発症する例も存在する。二次性血球貪食症候群では、感染症、リンパ腫などの疾患群の発症に付随して同様の病態を呈する。家族性、二次性のいずれも、血球貪食による血液系の異常が顕著であり、重症例では死に至る疾患群である。

2. 疫学

家族性血球貪食症候群は年間10例程度が新規に発症する。

3. 原因

家族性血球貪食症候群の原因としてはperforin, syntaxin11, MUNC 13-4、Munc18-2の遺伝子異常が報告されているが、日本人の約40%の症例では原因遺伝子が不明である。二次性血球貪食症候群は、自己免疫疾患、感染症、悪性腫瘍などの様々な原因によって発症するが、共通した原因は未解明である。

4. 症状

抗生剤不応性で持続する発熱、皮疹、肝脾腫、リンパ節腫張、出血症状、けいれん、肺浸潤、腎障害、下痢、顔面浮腫、など多彩である。

5. 合併症

感染症、DICを併発することが多い。その他、高 LDH 血症を伴う肝機能障害、凝固異常、低蛋白血症、低コレステロール血症、高トリグリセライド血症、高フェリチン血症などが観察されることがある。骨髄は低形成のことが多く、血球のうち主に赤血球を貪食するマクロファージが増加する。

6. 治療法

家族性血球貪食症候群に対しては骨髄移植の適応がある。二次性の疾患に関しては原疾患の治療に加えて、ステロイド、サイクロスポリンA、VP-16が用いられる。二次性疾患でも重症例では骨髄移植の適応がある。

7. 研究班

血球貪食症候群の病態・診療研究班