免疫系疾患分野|分類不能型免疫不全症(平成23年度)
ぶんるいふのうがためんえきふぜんしょう
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1. 概要 | |
原因が特定できない低γグロブリン血症の総称で、WHO分類では抗体産生不全症の中に位置する。ヨーロッパ免疫不全症学会によれば、「2歳以上(多くは10代以降)で発症する低γグロブリン血症で、同種血球凝集素の欠損、あるいはワクチンへの低反応を示し、既知の免疫不全症ではない疾患」とされている。 | |
2. 疫学 | |
全国で約300人の患者が把握されているが、実際にはそれより多い患者数であると推察されている。 | |
3. 原因 | |
原因が不明のものがこの疾患群に分類されてきたが、近年、ICOS、TACI、BAFF-R、CD19、CD20、CD21、CD81などの分子異常が同定され論文発表されている。大半の分類不能型免疫不全症についてはしかし、原因がいまだ不明である。現時点で判明しているもの以外に、最低20種類以上の責任遺伝子が存在すると予想されている。 | |
4. 症状 | |
様々な部位、とくに上下気道にての頻回に細菌感染症に罹患する。個々の感染は重症化しやすく,治癒が遷延する。髄膜炎,敗血症などの重症感染症にも反復罹患する。 | |
5. 合併症 | |
約30-50%が自己免疫疾患を合併し、リンパ系悪性腫瘍、消化器系悪性腫瘍などの合併も多いとされている。本邦における全国調査では自己免疫疾患の合併は18%、悪性腫瘍の合併は9%であったが、40才以上ではそれぞれ42%, 22%の罹患率であった。 | |
6. 治療法 | |
定期的なγグロブリン補充療法が治療の主体である。感染症時には抗菌薬投与が行われる。自己免疫疾患に対しては免疫抑制薬投与が行われる。 | |
7. 研究班 | |
成人型分類不能型免疫不全症の診断基準・診断方法の確立及び 治療方法の開発に関する研究班 | |