代謝疾患|オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(平成23年度)
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1. 概要 | |
アミノ酸代謝により生じたアンモニアは、肝臓の尿素サイクルにより尿素に転換され解毒される。この過程に異常があり、アンモニアの解毒が出来ず、高アンモニア血症を来すのが尿素サイクル異常症で、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症は尿素サイクル異常症の一つに分類され、尿素サイクル異常症の半数を占める。 | |
2. 疫学 | |
尿素サイクル異常症は最も高頻度な先天代謝異常症の一つであり、尿素サイクル異常症に属する各疾患あわせて約8000人に一人、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症は約14000人に一人の有病率と考えられている。 | |
3. 原因 | |
アンモニア解毒のステップである、カルバミルリン酸と担体であるオルニチンの結合を触媒する オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)の遺伝子異常による酵素活性低下により、アンモニアの解毒が阻害される。生化学的所見とX染色体上に局在するOTC遺伝子の解析により確定診断される。 | |
4. 症状 | |
X連鎖性準優性遺伝をとるため、男児に重症例が多く、新生児死亡も稀ではないが、軽症型もある。女児の症状は様々、無症状のキャリアも多い。新生児期には、生後早期に急速に進行する哺乳不良、過呼吸、傾眠、昏睡を伴う脳症がみられる。重篤な高アンモニア血症の発作は致死的となりうる。慢性的には精神発達遅滞、慢性神経学的症状、嘔吐、摂食障害。 | |
5. 合併症 | |
新生児期に凝固障害による頭蓋内出血。 精神運動発達遅滞。 | |
6. 治療法 | |
食事療法(蛋白制限、充分なカロリーの補充)、アルギニン、安息香酸ナトリウム・フェニル酪酸、L-カルニチン、ラクチュロース内服。急性期はグルコース大量静注による異化亢進状態の阻止、アシドーシスの補正、タンパク摂取の中止、有害代謝物の血液浄化療法による除去。一部の症例で肝移植が行われている。 | |
7. 研究班 | |
有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症・プロピオン酸血症)、尿素サイクル異常症(CPS1,OTC欠損症)、肝型と右舷病の新規治療法の確立と標準化研究班 | |