筋疾患分野|封入体筋炎(IBM)(平成23年度)
ふうにゅうたいきんえん
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1. 概要 | |
臨床的には緩徐進行性の経過で四肢、特に大腿部や手指・手首屈筋をおかし、副腎皮質ステロイドによる効果はないかあっても一時的である。筋への炎症性細胞浸潤、特に非壊死線維への浸潤が特徴とされる。筋線維の縁取り空胞と併せて筋病理学的に診断される。 | |
2. 疫学 | |
日本での患者数は1000-1500名程度と推定される | |
3. 原因 | |
一時期は筋肉の遅発性ウィルス感染症と推定されたが、現在はこの考え方は否定されている。封入体筋炎という病名が初めて使われたのは1971年でその後、筋線維内にアミロイドが存在すること、封入体にはアミロイド前駆たんぱくやリン酸化タウが証明できることなど、アルツハイマー病との相同性が指摘されるようになっている。蛋白分解経路の異常の病態への関与が示唆される。 | |
4. 症状 | |
初発症状は下肢とくに立ち上がり動作や階段昇降困難、上肢とくに手指・手首屈筋の筋力低下、嚥下困難である。左右差がめだつ症例も多い。下肢は大腿屈筋群の障害に比して大腿四頭筋の障害がめだつ。四肢の筋力低下や嚥下障害は進行性である。 | |
5. 合併症 | |
他の免疫疾患合併の報告はあるが、悪性腫瘍の合併については皮膚筋炎や多発筋炎のような関連はないと考えられている。多くの症例では四肢・体幹筋の筋力低下や嚥下障害の進行により、寝たきりとなり、最終的には肺炎などにより死亡する。 | |
6. 治療法 | |
臨床的特徴から本症の可能性を念頭におき、大量のステロイドを長期に渡って使用することを避けるべきである。免疫グロブリン大量療法の報告があるが、高額な治療費に対して健康保険は適応されない。 | |
7. 研究班 | |
封入体筋炎(IBM)の臨床病理学的調査および診断基準の精度向上に関する研究班 | |