神経系疾患分野|ドーパ反応性ジストニア(瀬川病を含む)(平成23年度)
| |
1. 概要 | |
14q22.1-22.2に存在するGTPシクロヒドロラーゼ1の変異により発症する常染色体優性遺伝性疾患である。筋緊張異常によるジストニアを主徴とする。10歳以下の発症が多く、女性に多い。成人発症例もある。常染色体劣性型もありチロシン水酸化酵素遺伝子の変異による。 | |
2. 疫学 | |
国内に百名以上の患者がいると考えられる。 | |
3. 原因 | |
1994年に本疾患の原因遺伝子が、GTPシクロヒドロラーゼI遺伝子であることが解明された。GTPシクロヒドロラーゼIは、ドーパミンの産生に必須なテトラヒドロビオプテリンの生合成酵素であり、患者では一対の本酵素遺伝子の片方に変異を有するために十分量のテトラヒドロビオプテリンを生合成することができず、結果として脳内でのドーパミン量が不足するためにジストニア症状を発症する。 | |
4. 症状 | |
下肢ジストニアにより歩行障害をきたす。尖足、内反尖足が多い。日内変動があり、昼から夕方にかけて症状が悪化し、睡眠によって改善する。固縮、姿勢時振戦がある。レボドパにより著明に改善する。成人発症例では、パーキンソン病様症状などで発症する例も報告されている。 | |
5. 合併症 | |
知能発達に異常は認められず、脳の器質的病変も伴わない。 | |
6. 治療法 | |
L-ドーパの投与が著効する。パーキンソン病患者にみられるようなL-ドーパ長期服用による副作用も発現しない。 | |
7. 研究班 | |
エカルディ‐グティエール症候群等のビオプテリン代謝異常を伴う疾患の診断方法確立および治療法開発のための横断的研究班 | |