神経系疾患分野|毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia Telangiectasia)(平成23年度)
もうさいけっかんかくちょうせいうんどうしっちょうしょう
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1. 概要 | |
歩行開始時から明らかになる進行性運動失調症、免疫不全症、高頻度の腫瘍発生、内分泌異常症、放射線高感受性、毛細血管拡張などを特徴とする、多臓器に渡る障害が進行性に認められる遺伝疾患である。 | |
2. 疫学 | |
患者数100人~1000人、人口10-15万人に1人、保因者は人口の0.5-1% | |
3. 原因 | |
1995年にATM(Ataxia telangiectasia mutated)遺伝子が、Ataxia telangiectasiaの責任遺伝子として同定された。遺伝子は11q22.3に位置し、66のエクソンからなり、全長150KBのゲノムDNAから成る。遺伝子産物であるATMはDNA損傷修復応答の鍵となる分子である。 | |
4. 症状 | |
歩行開始と共に明らかになる歩行失調(体幹失調)、小脳性構語障害・流涎、眼球運度の失行、眼振、眼球結膜・皮膚の毛細血管拡張(6歳までに50%で明らかに。8歳時までにほぼ全例)、易感染性・免疫不全症状、高頻度の悪性腫瘍発生を認める。その他、発育不良や内分泌異常を認めることがある。 | |
5. 合併症 | |
小脳失調からの誤嚥性肺炎、免疫不全による重篤な感染症、化学療法薬(抗がん剤)や放射線治療に際しての重篤な副作用などが問題となる。 | |
6. 治療法 | |
対症的治療(低γグロブリン血症に対するγグロブリン補充、感染時の抗菌薬投与、誤嚥防止など)。欧米ではDNA損傷の軽減を目的として、抗酸化薬のトライアルが行われている。 | |
7. 研究班 | |
毛細血管拡張性小脳失調症の実態調査、早期診断法確立と、病態評価に関する研究班 | |