神経系疾患分野|ペリツェウス・メルツバッハー病(平成23年度)
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1. 概要 | |
ペリツェウス・メルツバッハー病(Pelizaeus-Merzbacher disease; PMD)は、中枢神経系におけるミエリン形成の異常により発症する遺伝性脱髄疾患である。病型としてClassicタイプとConnatalタイプの二つが知られ、Classic PMDは、乳幼児期より発症し幼小児期に死亡するタイプで、Connatal PMDは、より重症で出生時または新生時期より発症し乳幼児期に死亡するタイプである。 | |
2. 疫学 | |
欧米での頻度は20-50万人出生に1人の割合で発症と報告されている。日本での患者数は約100例程度と推定される。 | |
3. 原因 | |
ミエリン形成または構成に関与する因子の異常により発症し、PMDの大部分の患者の原因としてプロテオリピド蛋白1(Proteolipid protein 1; PLP1)の遺伝子異常が報告されている。また、PMD に比べて患者数は少ないが、PMD 類似疾患(PMD like disease; PMLD)の存在も知られている。PMLDの原因としてGJC2/GJA12、 HSP60、Hyccin遺伝子の異常が報告されている。PLP1異常によるPMDは伴性劣性遺伝形式を、それ以外の遺伝子異常による疾患は常染色体性劣性または優性の遺伝形式を取ることが知られている。伴性劣性遺伝形式を取るPMD患者の中で、80-95%ではPLP1遺伝子の異常が同定されているが、PLP1遺伝子の異常が見つかっていない患者も存在し、PLP1遺伝子以外の原因遺伝子の存在が示唆されている。 | |
4. 症状 | |
乳児期に出現する眼振と頭部の振戦を特徴とし、けいれんや筋緊張の異常、痙性麻痺などの神経症状が現れる。 | |
5. 合併症 | |
肺炎などの感染症 | |
6. 治療法 | |
痙攣に対する抗けいれん剤や合併症に対する対症療法が主な治療法である。 | |
7. 研究班 | |
ペリツェウス・メルツバッハー病の診断及び治療法の開発 | |