循環器系疾患分野|マルファン症候群(平成23年度)
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1. 概要 | |
大動脈、骨格、眼、肺、皮膚、硬膜などの全身の結合組織が脆弱になる遺伝性疾患。結合組織が脆弱になることにより、大動脈瘤や大動脈解離、高身長、側弯等の骨格変異、水晶体亜脱臼、自然気胸などを来たす。 | |
2. 疫学 | |
人口5,000人に一人、本邦に約20,000人の患者数と考えられている。 | |
3. 原因 | |
常染色体優性遺伝による遺伝性疾患であり、約75%は親からの遺伝、約25%は出生時の突然変異で起こる。原因遺伝子は、フィブリリン1、トランスフォーミング(形質転換)成長(増殖)因子(TGF)β受容体1、2が判明しているが、それら以外の未解明の原因遺伝子の存在も疑われている。細胞骨格の構成物質であるフィブリリン1の異常により、全身の結合組織が脆弱になるとともに、TGFβの過剰活性化が脆弱化に関与していることも指摘されている。 | |
4. 症状 | |
大動脈瘤破裂や大動脈解離により突然死を来たすことがある。突然死を来たさなくても、大動脈弁閉鎖不全により心不全や呼吸困難を呈したり、大動脈解離では、末梢臓器循環不全を呈したりすることがある。骨格病変としては高身長、長指、側弯、漏斗胸などの胸郭形成不全等を呈する。その他、水晶体亜脱臼により視力の低下、自然気胸により呼吸困難などを呈する。 | |
5. 合併症 | |
大動脈起始部瘤では、破裂、大動脈弁閉鎖不全や心不全を呈することがある。大動脈解離では、腎不全などの末梢臓器の循環不全を呈することがある。心臓弁膜機能障害がある場合は細菌性心内膜炎の危険性が高い。胸郭変形による呼吸困難。腰痛、関節脱臼。体型の悩みなどによる不安神経症など。 | |
6. 治療法 | |
大動脈瘤、大動脈解離に対しては、人工血管置換術を行う。水晶体亜脱臼、重度の側弯、漏斗胸などに対しても手術が行われる。大動脈瘤、解離に対しては、降圧ならびに心拍数減少の目的にて、βブロッカーによる薬物療法が行われてきたが、最近のTGFβの過剰活性化の知見から、TGFβを抑制する作用を有するアンジオテンシン受容体拮抗薬の投与が行われることもある。 | |
7. 研究班 | |
マルファン症候群の診断基準に関する調査研究班 | |