奇形症候群|14番染色体母親性ダイソミーおよび類縁疾患 (upd(14)mat syndrome)(平成23年度)

14ばんせんしょくたいははおやせいだいそみーおよびるいえんしっかん
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1. 概要

14番染色体母親性片親性ダイソミー関連疾患は、14番染色体長腕の32.2領域(14q32.2)に存在するインプリンティング遺伝子の発現異常により生じる。胎児期・出生後の成長障害、新生児期の筋緊張低下、小さな手、哺乳障害、運動発達障害(軽度)、思春期早発傾向、治療法は未確立で、対症療法となる。

2. 疫学

これまでの報告例は35例。最近細木、斉藤らが、プラダーウィリーを疑われ、15番染色体の欠失、メチル化異常のない78症例の解析で5症例の14番染色体母親性関連疾患患者を同定した。

3. 原因

14番染色体母親性ダイソミー:患者の14番染色体がともに母親由来であるために正常では母親由来アリルからのみ発現する母性発現遺伝子が過剰発現となり、父性発現遺伝子の発現は消失することにより疾患が生じる。微小欠失:父親由来アレル上の14番染色体インプリンティング領域を含む欠失。エピ変異:upd(14)patの表現型を示し、IG-DMR、 MEG3-DMRの低メチル化を示すが、ダイソミーも微小欠失も認めない症例。そのメカニズムは不明である。

4. 症状

胎児期・出生後の成長障害、新生児期の筋緊張低下、小さな手、哺乳障害、運動発達障害(軽度)  思春期早発傾向、肥満、中耳炎、高コレステロール血症

5. 合併症

外反肘、動脈管開存、口蓋裂、MODY

6. 治療法

対症療法が中心である。乳児期の哺乳不良のため一時的に経管栄養となる場合がある。

7. 研究班

「14番染色体父親性・母親性ダイソミーおよび類縁疾患の診断・治療指針作成」研究班