その他分野| 肥厚性皮膚骨膜症(平成23年度)
| |
1. 概要 | |
太鼓ばち指、長管骨を主とする骨膜性骨肥厚、皮膚肥厚性変化(脳回転状頭皮を含む)を3主徴とする遺伝性疾患である。2次性(続発性)として肺がんなどの胸腔内疾患によるものが知られている。 | |
2. 疫学 | |
平成22年度厚生労働省難治性克服研究事業による全国調査(1次)の結果、全国推定患者数は、42.9例であった。本邦における報告例は2008年12月までにおよそ200例。男女比15:1であるが、過去21年の原著報告39例中(頭部脳回転状皮膚を伴う)完全型に女性例の報告はない。 | |
3. 原因 | |
2008年原因遺伝子が同定されるまでは原因不明の疾患であった。Uppalらは、パキスタン人血族結婚家系から、第4染色体長腕に位置するNAD(+)-dependent 15-hydroxyprostaglandin dehydrogenase(HPGD)遺伝子に変異を見出した。当該遺伝子はプロスタグランディンE2の分解酵素をコードしており、その欠損により患者には過剰のPGE2が残存し尿中に排泄される。 | |
4. 症状 | |
当該疾患はTouraineにより3型により分類され、この分類が現在も用いられている。 | |
5. 合併症 | |
多岐にわたるのが特徴である。 | |
6. 治療法 | |
対症療法が試みられている。一時期関節症にコルヒチンが用いられたが、効果は十分ではなかった。最近では1例報告でビスフォスフェートと関節滑膜除去術などが試みられている。顔面皮膚皺壁や脳回転様頭皮には形成外科的なアプローチが試みられている。今のところ発症を遅らせるような治療法はない。 | |
7. 研究班 | |
肥厚性皮膚骨膜症における遺伝子診断と生化学的検査を踏まえた新しい病型分類の提言と既存治療法の再評価に関する研究」班 (平成22―23年度) | |