代謝疾患、内分泌疾患|MODY1-6 (若年発症成人型糖尿病遺伝子MODY1-6)(平成23年度)
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1. 概要 | |
メンデル遺伝の若年糖尿病を症候の一つとする稀少疾患であり、現在までに6種類の原因遺伝子が同定されています(MODY1-6)。MODYの耐糖能異常は非肥満インスリン分泌不全を特徴とし、一般の2型糖尿病でみられる肥満インスリン抵抗性は認めません。耐糖能異常の重症度は型によって多様であり、原因遺伝子が発現している組織に応じた多様な臨床像を合併します。 | |
2. 疫学 | |
MODYの頻度は、糖尿病全体の1~3%程度と推定されていますが、日本人における確かな調査はありません。6種類の病型頻度の合計はMODY全体の約20%を占めると推定されており、日本人では大半は未知です。病型によっては、本邦では1~数例しか報告されていません。 | |
3. 原因 | |
インスリン合成・分泌に関する遺伝子やその発現を制御する転写因子の異常によって発症します。疾患の遺伝様式は常染色体優性遺伝を示し、MODYの判定は、発端者が若年発症であり、同家系で3世代以上に亘って患者がみられる、という基準を便宜的に用いています。 | |
4. 症状 | |
耐糖能異常は、若年発症を除くと、非肥満とインスリン分泌不全を特徴とし、日本人2型糖尿病に類似した臨床像を呈します。型によっては、境界型や腎症糖尿のみを示す軽症例がある一方で、重症のために1型と鑑別不能な場合もあります。糖尿病以外では、腎嚢胞、高尿酸、生殖器異常、精神異常、骨格形成不全、脂質異常、癌など多様な臨床像を認めることが特徴的です。 | |
5. 合併症 | |
慢性高血糖に基づく合併症は2型糖尿病と共通です。MODY3では、肝の脂質代謝異常により心血管イベントリスクが増大します。MODY5では、ネフロン形成不全により腎機能低下をきたし、腎不全に至る場合が少なくないです。肝臓や腎臓での発癌も高率に見られます。女性例で生殖器の形成不全があれば不妊となります。 | |
6. 治療法 | |
遺伝子異常が原因であるために根治的な治療法はありません。糖尿病と血管合併症については一般の糖尿病や動脈硬化と同様の治療が行われます。MODY2では治療を必要としない場合が多く、MODY3では重症例が多くてインスリン治療が必須となる場合が少なくないですが、一方で、2型と異なりインスリン依存であってもスルホニル尿素薬が著効する場合があります。また、MODY5に特徴的な末期腎不全については、正常DNAを有する腎移植が有効なので、鑑別や治療法の選択において遺伝子検査が重要となります。 | |
7. 研究班 | |
MODY1-6に関する調査研究班(岐阜大学、大阪大学、熊本大学) | |