(15)眼科疾患|特発性周辺部角膜潰瘍(平成24年度)

とくはつせいしゅうへんぶかくまくかいよう
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1. 概要

特発性周辺部角膜潰瘍とは、特に全身疾患を伴わずに突然に角膜周辺部の潰瘍をきたす疾患で、一般的には「Mooren潰瘍」と称される。若年から中高年の片眼または両眼に発症し、著明な眼表面の炎症を呈するとともに、急速に進行して角膜穿孔をきたす。視力予後は著しく不良であるが、発症頻度が稀なために診断ならびに治療法ともに確立しておらず、発症機序、病態も未解明である。
関節リウマチ、Wegener肉芽腫症などの膠原病においても角膜周辺部に潰瘍を生じ、類似の経過をたどる。これらは強膜病変や涙液分泌減少を伴い、「Mooren潰瘍」とは異なる疾患として区別されているが、「Mooren潰瘍」の診断後に壊疽性膿皮症など稀な膠原病が明らかになるなど両疾患は同一スペクトラムの疾患である可能性がある。さらに、炎症を伴わずに角膜周辺部が菲薄化する疾患として「Terrien角膜変性」があるが、「Mooren潰瘍」と「Terrien角膜変性」の病態の差についても明らかではない。

2. 疫学

不明

3. 原因

何らかの免疫異常によると考えられ、寄生虫感染、C型肝炎との関連を指摘した報告があるが、発症機序、病態の詳細は不明である。

4. 症状

結膜充血、毛様充血、眼痛、視力低下など。

5. 合併症

進行すると角膜穿孔をきたす。続発性白内障、続発性緑内障、まれに感染性眼内炎。

6. 治療法

ステロイド剤の点眼、ステロイド剤と免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服がある程度有用である。しかし保存治療を行っても急速に進行して、しばしば角膜穿孔に至る。手術治療として上皮移植、ボーマン膜の移植が有用とされるが、その奏功機序は不明である。

7. 研究班

特発性周辺部角膜潰瘍の実態調査および診断基準の確立のための研究班