眼科疾患分野|オカルト黄斑ジストロフィー(平成24年度)

おかるとおうはんじすとろふぃー
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1. 概要

オカルト黄斑ジストロフィーは遺伝性の黄斑部変性症である。本研究グループによって、平成22年度に優性遺伝タイプの原因遺伝子がRP1L1であることが解明されたが、全てのタイプの臨床病態および病理学的・分子遺伝学的な原因は明らかにされていない。このため多くの眼科施設では正確な診断に至らず、誤った治療を受ける例が非常に多い。
また、本疾患には家族性タイプから弧発例タイプまでさまざまな亜型があるため、国際的にも疾患概念に対する統一の見解が得られていないのが現状である。本疾患の正確な病態の解明、および診断基準作製の必要性が強く求められている。

2. 疫学

本疾患は、眼底検査および蛍光眼底造影検査がともに正常であるという特徴があり、このため一般眼科において発見、診断をすることが非常に困難である。国内に2000名程度の患者がいることが推測されるが、実数の把握は非常に困難である。なお、男女差、地域差について明らかな傾向は見られていない。

3. 原因

1989年に三宅らによって疾患が報告されて以来20年を経て、優性遺伝タイプの原因遺伝子がRP1L1であることが本研究グループによって解明された。しかし、患者の半数近くは弧発例として発見されること、RP1L1遺伝子の生理的機能が不明であることなど、疾患原因は完全には解明されていない。

4. 症状

オカルト黄斑ジストロフィーは網膜黄斑部の機能が徐々に低下し、視力低下、および中心視野欠損を生ずる。特に、視力に最も重要な中心窩の機能が傷害されるため、患者は著しく識字困難となり、社会生活に大きな支障をきたす。

5. 合併症

これまでの調査では、オカルト黄斑ジストロフィーに緑内障、網膜色素変性症等を合併する家系が報告されているが、その病因的な関連は不明である。
また、他の全身疾患との関連は特に指摘されていない。

6. 治療法

疾患原因が不明であり、根本的な治療法はない。
羞明に対してサングラスの装用を勧める等の指導を行う。

7. 研究班

オカルト黄斑ジストロフィー研究班