(17)奇形症候群|致死性骨異形成症(平成24年度)
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1. 概要 | |
致死性骨異形成症 thanatophoric dysplasiaは1967年にMaroteauxらが独立した疾患として報告した。”thanatophoric”とはdeath bearing (致死性)を意味するギリシャ語であり邦訳すると致死性骨異形成症となる。主な特徴は長管骨(特に上腕骨と大腿骨)の著明な短縮である。線維芽細胞増殖因子3遺伝子の点突然変異が原因で発症することが判明している。そのX線所見から大腿骨が彎曲(受話器用変形)し、頭蓋骨の変形のない1型と、大腿骨の彎曲は少なく、頭蓋骨がクローバー葉様に変形した2型に分類される。いずれにおいても肋骨の短縮による胸郭低形成で、ベル状胸郭となり、重度の呼吸障害を来す。また巨大頭蓋と前頭部突出を示し、顔面は比較的低形成である。周産期致死性の骨系統疾患の代表的な疾患であるが、近年は呼吸管理の進歩により長期生存の報告がある。 | |
2. 疫学 | |
頻度は出生児(死産を含む)の1/20,000~1/50,000程度である。重症の四肢短縮を示す周産期致死性とされる先天性骨系統疾患では最も頻度が高い。理論上は常染色体優性遺伝形式であるが、出生後早期に死亡することが多く、妊孕性のある年齢に至らないため、実際の発症は全例が新生突然変異である。 | |
3. 原因 | |
疾患の原因は線維芽細胞増殖因子3遺伝子の点突然変異による。1型では複数の遺伝子変異の集中部位が報告され、アミノ酸の置換(Arg248Cys、Ser249Cys、Gly370Cys、Ser371Cys、Tyr373Cys)や、終止コドンのアミノ酸への置換(stop807Gly、stop807Arg、stop807Cys)などを引き起こす。日本人ではArg248Cysが1型の約60~70%にみられ最も多く、次いでTry373Cysが20~30%に見られる。それ以外の変異や既知の変異が検出されないものが、~10%程度存在する。2型については全例でLys650Glu変異が検出されている。 | |
4. 症状 | |
児は著明な四肢長管骨の短縮を認め、これは特に近位肢節に著しい。頭蓋骨は巨頭を示し、前頭部突出と鼻根部の陥凹が顕著である。胸郭は低形成でこれによる呼吸不全症状を示す。また腹部膨満と相対的な皮膚過剰による四肢皮膚の皺壁などが特徴である。 | |
5. 合併症 | |
胸郭低形成に伴う重症の呼吸障害がみられ、死亡の原因となる。 | |
6. 治療法 | |
根治的な治療はなく、対症療法を行う。出生後早期に死亡する(周産期死亡)ことが多いが、呼吸管理を行えば、長期生存した例も報告されている。 | |
7. 研究班 | |
致死性骨異形成症の診断と予後に関する研究 | |