血液・凝固系疾患分野|細網異形成症(平成24年度)

さいもういけいせいしょう
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1. 概要

多系統の細胞の分化障害により多系統、多臓器に発症することを特色とする難病である。各系統細胞の分化過程でアポトーシスに陥ることが予想されているが、詳細は不明である。
典型例では、Tリンパ球分化障害、骨髄系細胞分化障害、感音性難聴を呈する。その他、多臓器の障害の報告もあるが、実態が明らかでない
また、非典型例では、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄不全との鑑別診断が困難である。また、単独の感音性難聴患者の中に見逃されていると考えられる。

2. 疫学

フランスで17名、ドイツで11名、その他の国で約30例が報告されている。国内では、疫学調査がなされていないため患者数は不明であるが、申請者は4例を把握している。しかし諸外国の報告数と比べ少ないため、多数例が診断されていないと考えられる。また、非典型例は数100例程度存在するとされる。

3. 原因

原因不明であるが、一部の症例でAK2が原因遺伝子であることが報告された。しかし、その遺伝子異常と発症機序の関連は不明である。
AK2正常の細網異形成症については、家系分析による原因遺伝子同定が進行中である。

4. 症状

好中球減少、Tリンパ球減少、易感染性、感音性難聴
典型例では、造血幹細胞移植のみで救命できる。移植後合併症(GVHDなど)が長期に続く場合がある。
 非典型例では、易感染性、高発がん、感音性難聴が認められる。

5. 合併症

悪性リンパ腫など悪性腫瘍の高頻度発症

6. 治療法

根治治療は造血幹細胞移植。それまでの間は感染症治療(抗生剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤)、G-CSF投与を行う。感音性難聴については補聴器を早期から使用する。

7. 研究班

血液免疫系細胞分化障害による疾患の診断と治療に関する調査研究班