免疫系疾患分野|クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)(平成24年度)
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1. 概要 | |
その名の通りクリオピリン(cryopyrin)の異常により発症する自己炎症性疾患の総称であり、軽症型である家族性寒冷蕁麻疹、中間型のマッカルウェルズ(Muckle-Wells)症候群、重症型のシンカ(CINCA)症候群(別名ノーミッド | |
2. 疫学 | |
本邦における患者数は100人程度と推定されています。 | |
3. 原因 | |
炎症性のサイトカインであるIL-1の活性化を制御するクリオピリン(遺伝子はNLRP3)の機能獲得型変異により発症します。この異常により、単球系細胞からのIL-1b産生が亢進して全身性の炎症が起きると考えられています。家族性寒冷蕁麻疹やマッカルウェルズ症候群の多くは家族例ですが、重症型のシンカ症候群の大部分は孤発例で、その半数は体細胞モザイク(身体の一部の細胞のみに遺伝子異常がある状態)で発症する事が知られています。 | |
4. 症状 | |
蕁麻疹様の発疹、発熱が新生児・乳児期より認められます。これらの症状は、軽症例では寒冷刺激(急に寒い環境に曝される、冷たいものに触れた場合など)により誘発されますが、重症例では持続的に認められます。関節炎の他、重症例では骨幹端の変形により成長が障害され、著しい低身長となります。重症例では、慢性の髄膜炎をしばしば認め、頭痛・嘔吐・うっ血乳頭などを伴います。その他、感音声難聴やぶどう膜炎を認める事もあります。 | |
5. 合併症 | |
重症例では、中枢神経の炎症による発達障害・知能低下、関節病変による拘縮・変形の他、持続的な全身炎症に伴うアミロイドーシスを合併します。 | |
6. 治療法 | |
ステロイドは無効ですが、抗IL-1b療法が有効です。リコンビナントヒトIL-1受容体拮抗薬であるアナキンラや抗IL-1bヒト化モノクローナル抗体であるカナキヌマブが著効します。関節拘縮に対しては外科的な療法が必要となる場合があります。 | |
7. 研究班 | |
「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班 | |