免疫系疾患分野|小児期発症全身性エリテマトーデス(平成24年度)
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1. 概要 | |
自己抗体の存在と多臓器障害を特徴とする全身性の自己免疫性炎症疾患です。特に皮膚、関節、血液、腎臓に影響をもたらし、寛解と増悪を繰り返します。小児の全身性エリテマトーデスは通常5~15歳で発症し、男女比はおよそ1:4です。 | |
2. 疫学 | |
小児では年間 5/1,000,000人の割合で発症しますが、5歳未満での発症は非常に稀です。 | |
3. 原因 | |
発症のそもそもの原因については今のところ不明です。複数の遺伝要因と、日光刺激・感染症・薬剤などの環境要因の双方が関連する多因子遺伝性疾患と考えられています。 | |
4. 症状 | |
疲労・倦怠感・発熱と言った非特異的症状に加え、皮膚症状(蝶形紅斑、日光過敏、円板状皮疹、レイノー現象など)、粘膜潰瘍、関節炎、漿膜炎(胸膜炎、心外膜炎)、腎障害、中枢神経障害(頭痛、痙攣、鬱症状など)、汎血球減少など、様々な症状が認められます。 | |
5. 合併症 | |
腎障害が強い症例では腎不全に至る事があり、中枢神経症状がある場合と共に積極的な治療が必要です。他の膠原病、特に抗リン脂質抗体症候群の合併が多く、シェーグレン症候群の合併も多く認められます。そのほか皮膚筋炎、多発筋炎、全身性強皮症との合併もあり、特に全身性強皮症との合併は、それぞれの診断基準を完全に満たす場合をオーバーラップ症候群と呼びます。すべての診断基準を不完全にしか満たさない症例では、混合性結合組織病という別の疾患に診断される場合があります。 | |
6. 治療法 | |
副腎皮質ステロイド剤が治療の中心であり、シクロホスファミドやアザチオプリンなどの免疫抑制剤を併用する場合もあります。痛みと関節痛の治療には非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)が用いられます。 | |
7. 研究班 | |
「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班 | |