免疫系疾患分野|川崎病(平成24年度)

かわさきびょう
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

主に乳幼児が罹患する急性発熱疾患であり、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MCLS)とも呼ばれます。全身の中型血管の炎症を主体とし、一部に冠動脈の拡張や瘤を合併する事が特徴です。

2. 疫学

本邦では年間およそ10,000人の患者が発症します。

3. 原因

夏と冬に発生が多く、地域流行性があることから何らかの病原体との関連が示唆されていいます。又、特定の腸内細菌との関連や遺伝的素因の関与も明らかにされていますが、現時点では発症の原因は不明です。又、冠動脈を中心に合併症が起こる機序も解明されていません。

4. 症状

主要症状は次の通りです。
1)5日以上続く発熱、2)両側眼球結膜の充血、3)手足の硬性浮腫、膜様落屑、4)皮膚の不定型発疹、5)口唇口腔咽頭粘膜のびまん性発赤、いちご舌、6)有痛性非化膿性頸部リンパ節腫脹

5. 合併症

初回の免疫グロブリン大量療法に不応な例の約25%に冠動脈拡張・瘤形成が合併します。一部の症例では巨大冠動脈瘤を合併し、血栓や冠動脈瘤破裂による心筋梗塞の可能性もあります。

6. 治療法

免疫グロブリン大量療法が標準治療であり、通常血栓予防にアスピリンを併用します。この併用療法により48時間以内に解熱しない、または2週間以内に再燃が見られる場合を不応例とし、免疫グロブリンの再投与や副腎皮質ステロイド剤の投与、血漿交換療法、シクロスポリンの投与などが試みられています。近年、TNF阻害薬の有効性も報告されています。

7. 研究班

「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班