免疫系疾患分野|若年性特発性関節炎(全身型)(平成24年度)
じゃくねんせいとくはつせいかんせつえん(ぜんしんがた)
| |
1. 概要 | |
自己免疫現象を基盤とする全身性の慢性炎症性疾患であり、関節のみならず皮膚・粘膜・血管系(血管が密に分布する腎・肺・中枢神経系を含む)を標的とし、成人スチル病と同一、或いは類似した病態と考えられています。 | |
2. 疫学 | |
有病率は、小児人口10万人に4.5人程度です。 | |
3. 原因 | |
原因は解明されていませんが、IL-6を中心とした炎症性サイトカインの過剰産生が病態の中心と考えられています。IL-6の過剰産生はIL-6受容体(R)産生を促し、形成されたIL-6/IL-6R複合体が標的細胞表面の受容体であるgp130に結合する事により、様々な生物学的反応が惹起されると考えられています。 | |
4. 症状 | |
発症時には強い全身性の炎症症状を呈します。数週間以上にわたり弛張熱が持続し、発熱時にリウマトイド疹を認めます。全身性のリンパ節腫脹や肝脾腫を伴い、多くの症例で関節痛や関節腫脹、心膜炎などの漿膜炎を認めます。 | |
5. 合併症 | |
約10%の症例で活動期にマクロファージ活性化症候群への移行が認められ、適切な治療がなされなければ、血管内皮や臓器細胞の障害と播種性血管内凝固症候群の進行から多臓器不全に至ります。 | |
6. 治療法 | |
副腎皮質ステロイド剤への依存性が極めて高く、寛解導入には高用量の経口ステロイド剤をはじめ、メチルプレドニゾロンパルス療法や血漿交換療法が用いられます。近年、ヒト型抗IL-6R抗体の有効性が報告されており、近い将来に標準治療となる可能性があります。 | |
7. 研究班 | |
「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班 | |