(2)筋疾患分野|骨格筋チャネル病(平成24年度)
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1. 概要 | |
骨格筋に発現するイオンチャネル遺伝子の異常による疾患の総称。低カリウム性周期性四肢麻痺、Andersen-Tawil症候群(アンデルセン・タウィル症候群)、高カリウム性周期性四肢麻痺、先天性パラミオトニー、カリウム惹起性ミオトニー(ナトリウムチャネルミオトニー)、先天性ミオトニー(ベッカー、トムゼン)などが狭義のチャネル病である。成人で最も頻度の高い筋ジストロフィー症である筋強直性ジストロフィーも類縁疾患である。甲状腺機能亢進に伴う二次性の周期性四肢麻痺は一般臨床でも良く経験される。 | |
2. 疫学 | |
狭義のチャネル病は非常に稀である。本邦での診断確定例は全てのタイプを合わせても100家系余りであるが、遺伝子診断未施行例・診断未確定例が多く存在すると考えられる。 | |
3. 原因 | |
骨格筋型ナトリウムチャネルの遺伝子異常は高カリウム性周期性四肢麻痺、先天性パラミオトニーや低カリウム性周期性四肢麻痺などの、骨格筋型カルシウムチャネルの遺伝子異常は低カリウム性周期性四肢麻痺の、骨格筋型塩化物イオンチャネルの異常は先天性ミオトニーの、そして一種のカリウムチャネルの異常はAndersen-Tawil症候群(アンデルセン・タウィル症候群)のそれぞれ原因となることが判明しているが、他にも原因遺伝子があると考えられている。 | |
4. 症状 | |
筋強直(ミオトニー)や筋痛あるいは1時間から1日程度持続する麻痺発作を示す。高カリウム性周期性四肢麻痺などのように両方を示すものもある。重症例では乳幼児期にチアノーゼを呈したり、年齢とともに筋萎縮や筋力低下、骨格変形をきたすことがある。 | |
5. 合併症 | |
Andersen-Tawil症候群(アンデルセン・タウィル症候群)では不整脈、顔面・手指の骨格奇形などを合併する。 | |
6. 治療法 | |
筋強直に対しては抗不整脈薬や抗てんかん薬が用いられる。麻痺発作の予防のためにアセタゾラミドが有効とされている。重症の急性麻痺発作の場合には入院のうえ血清Kの補正を行う。 | |
7. 研究班 | |
希少難治性筋疾患に関する調査研究班 | |