消化器系疾患分野|ヒルシュスプルング病類縁疾患(小児例)(平成24年度)
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1. 概要 | |
ヒルシュスプルング病は先天的に腸管の神経節細胞が欠如するために腸管蠕動不全をきたし腸閉塞症状を呈する疾患であるが、病変の範囲が限定されておりその診断と治療法は確立されている。一方、ヒルシュスプルング病類縁疾患(H類縁)は腸管の神経節細胞が存在するにもかかわらず腸管の蠕動不全をきたす疾患の総称で、疾患の稀少性のためその分類や治療方針に関するコンセンサスが得られていない。現在のところ、神経節細胞が正常なもの(CIPSやMMIHSなど)と異常なもの(ImmaturityやHypoganglionosisなど)に分類するのが一般的である。 | |
2. 疫学 | |
2001-2010年の10年間で353例(平成23年度の一次調査:40000出生に1) | |
3. 原因 | |
ヒルシュスプルング病は神経堤からの神経節細胞の遊走分布が途絶したためにおこるとされておりいくつかの原因遺伝子の報告があるが、多様で変異の部位もまちまちであり一元的には解明されていない。一方、H類縁に関しては全く不明である。一部神経節細胞僅少症のなかには後天的原因で腸管神経節細胞が消失するのもあるが原因については不明である。 | |
4. 症状 | |
新生児期から小児期まで急性の腸閉塞や重症便秘として発症するが、新生児期発症のものは重症で全消化管の蠕動不全をきたし、長期の絶食、静脈栄養管理を必要とするものが多い。しかし、H類縁疾患には難治性のものと自然治癒傾向のものが混在している。さらにそれぞれの診断基準が定まっていないのが現状である。 | |
5. 合併症 | |
腸管の蠕動不全や異常拡張のため腸管内で細菌が異常増殖をきたしbacterial translocationによる敗血症によるショックで突然死亡する症例や、長期にわたる静脈栄養の合併症としての敗血症や肝不全により死に至る。また常時静脈路を必要とするため静脈路が枯渇するという問題点もある。 | |
6. 治療法 | |
蠕動不全の腸管を切除して腸閉塞がおこらない程度の長さで管理し、人工肛門で腸管減圧を行う。長期にわたる静脈栄養と経腸栄養で延命をはかる。小腸移植や肝+小腸移植の適応になる症例もある。症例によっては急性期の腸閉塞の時期を乗り切れば自然治癒傾向をしめすものもあるため保存的治療が奏効するものもある。したがって、重症度の階層化と治療指針の決定が急務である。 | |
7. 研究班 | |
小児期からの消化器系希少難治性疾患の包括的調査研究とシームレスなガイドライン作成 | |