消化器系疾患分野|新生児・乳児巨大肝血管腫(平成24年度)
しんせいじ・にゅうじきょだいかんけっかんしゅ
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1. 概要 | |
新生児および乳幼児の肝血管腫は、低年齢児にみられる代表的な肝腫瘍の一つである。組織学的には良性腫瘍に分類されるが、全身的な脈管系の形成異常の部分症としても発症する。患児の体重が小さく身体機能が未熟であることに加えて、腹腔の相当の容積を巨大な腫瘍が占拠し、容易に呼吸循環不全を起こすなど、特異な危急的病態を呈する。一般的に血管腫に対する治療としてステロイド、放射線照射、血管塞栓などが提唱されるが、新生児などの低年齢児における肝血管腫の病態は危急的であり、治療は未確立である。 | |
2. 疫学 | |
平成21年度の研究班一次調査では全国の小児外科施設で年間8例程度が治療。 | |
3. 原因 | |
血管増生、血管形成異常、母体のホルモンの影響など諸説あり。 | |
4. 症状 | |
肝腫大、腹部膨満、呼吸障害、合併症による症状(心不全、出血傾向)など 胎児水腫や子宮内胎児死亡、生後の頭蓋内出血や腹腔内出血による出血性ショックなどの症状を呈する場合もある。 | |
5. 合併症 | |
心不全、Kasabach-Merritt症候群(消費性凝固障害): 巨大な肝血管腫は血管床増大による循環系負荷により胎児水腫や新生児心不全を併発し致死的経過をとる 。また、血管腫内の微小血管内における凝固因子の消費による凝固障害も、本症に見られる重大な合併症の一つである。 | |
6. 治療法 | |
ステロイド療法、プロプラノロール療法、抗がん剤投与、血管腫塞栓療法、外科手術、肝移植 | |
7. 研究班 | |
小児期からの消化器系希少難治性疾患の包括的調査研究とシームレスなガイドライン作成 | |