皮膚疾患分野|コケイン症候群(平成24年度)

こけいんしょうこうぐん
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1. 概要

紫外線性DNA損傷の主要な修復システムであるヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair ; NER)、その中で特に転写領域のDNA損傷がうまく修復できないことにより発症する極めて稀な常染色体劣性遺伝形式で遺伝する早老症である。老人様顔貌、日光過敏に加え、著明な発育障害、発達障害、感音性難聴、網膜色素変性がみられ、肝腎機能の低下、糖尿病、肺炎、外傷後の脳内出血などを合併しやすくほとんどの症例は20歳までに死亡する。
臨床的には思春期頃まで生存する古典型(タイプ1)、乳幼児期で死亡する重症型(タイプ2)、遅発型(成人発症型、タイプ3)の3型があるがタイプ2、タイプ3は稀である。

2. 疫学

2名/100万出生
これまでの推定本邦患者数 約80名(うち現在の生存例約40名)

3. 原因

紫外線性DNA損傷の主要な修復システムであるヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair ; NER)の中の転写共益修復系に関わる因子(CSA,CSB)の欠損により発症する。稀に本疾患(CS)の類縁疾患である色素性乾皮症(XP)の原因遺伝子であるXPB,XPD,XPG遺伝子の転写に深く関連する部位での変異でも発症する。

4. 症状

生後半年頃より光線過敏症状がみられる。その後徐々に小頭症、特有の老人様顔貌(皮下脂肪萎縮、落ちくぼんだ目、鳥の嘴状の鼻、大きな耳、上顎突出など)、低身長、低栄養、著明な発育低下、視力障害、聴力障害、重度の精神運動発達障害など多彩な症状が出現してくる。

5. 合併症

肝機能障害、腎機能障害、糖尿病、高血圧、白内障、睡眠・体温調節障害、齲歯など。
腎機能の低下、肝機能障害、糖尿病、肺炎、外傷後の脳内出血などの合併が予後に深く関与する。

6. 治療法

本症は重篤な遺伝性疾患であり、根本的な治療法はない。また必発する早老症、重度の精神運動発達障害の発症機序はいまだ不明であり進行を止める有用な手段はなく、肺炎に対する抗生物質投与など各症状に対する対症療法のみが行われている。日光過敏症の予防にはサンスクリーンが有効である。

7. 研究班

皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究