皮膚疾患分野|掌蹠角化症(平成24年度)
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1. 概要 | |
掌蹠(手掌と足底)の過角化を主症状とする疾患群。掌蹠角化症には先天性素因によって生じる先天性掌蹠角化症と後天性掌蹠角化症がある。しかし、この両者を臨床所見のみで区別することは困難なことが多く、鑑別には発症年齢、家族歴、職業歴、詳細な臨床所見の観察などが必要となる。一般に掌蹠角化症という場合は先天性のものをさす。 | |
2. 疫学 | |
約4000人。 | |
3. 原因 | |
原因遺伝子が判明しているものもある。ウンナ・トスト型掌蹠角化症の一部はケラチン1遺伝子に変異がある。フェルネル型掌蹠角化症はケラチン9遺伝子に変異がある。先天性爪甲厚硬症は、ケラチン6a,b,16,17遺伝子に変異がある。パピヨン・ルフェーブル症候群は、カテプシンC遺伝子に変異がある。指端断節性掌蹠角化症では、ロリクリン遺伝子あるいはコネキシン26遺伝子に変異が存在する。線状掌蹠角化症では、デスモグレイン1遺伝子あるいはデスモプラキン遺伝子に変異が存在する。ナクソス病ではプラコグロビンに変異が存在する。他方、長島型掌蹠角化症や点状掌蹠角化症などでは原因遺伝子は現在なお不明である。 | |
4. 症状 | |
掌蹠の角質が肥厚する。 | |
5. 合併症 | |
パピヨン・ルフェーブル症候群では、歯周病、易感染性を合併する。点状掌蹠角化症では悪性腫 | |
6. 治療法 | |
一般的な治療法として、10%サリチル酸ワセリンを、1日2 – 3回患部に塗り鱗屑の除去につとめる。重症例ではレチノイド(チガソン)(10mg)4カプセルを2回に分服する。角質を物理的に削ることも行う。手指の絞扼輪や掌蹠の角質肥厚に対しては外科的治療(植皮)を考慮する。 | |
7. 研究班 | |
皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究 | |