その他分野|腎性低尿酸血症(平成24年度)
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1. 概要 | |
腎性低尿酸血症は、腎臓における尿酸の再吸収低下または分泌亢進といった尿酸の排泄亢進に起因する尿酸輸送体病であり、血清尿酸値の低下と尿中尿酸排泄率の増加を特徴とする。合併症として重篤な運動後急性腎不全や尿路結石が問題となる。 | |
2. 疫学 | |
腎性低尿酸血症1型、2型ともに、正確な疫学データがなく不詳である。 | |
3. 原因 | |
これまでに、腎性低尿酸血症1型の病因遺伝子がUrate transporter 1 (URAT1/SLC22A12)であることが報告されていた。最近、研究班の四ノ宮らによって2型の病因遺伝子としてGlucose transporter 9 (GLUT9/SLC2A9)が同定された。これらはともに腎近位尿細管において尿酸再吸収に働く輸送体である。腎性低尿酸血症には1型にも2型にも属さないものも存在しており、新たな病因遺伝子の同定及び分子機構の解明とそれに基づく予防法の開発が必要とされている。 | |
4. 症状 | |
通常、低尿酸血症自体による症状は認めない。急性腎不全など重篤な合併症を発症してから初めて発見されることが多く、疾患の認知度も低いことから、多くの症例で合併症を含めて適切に診断、治療がなされていないのが現状である。 | |
5. 合併症 | |
本症の合併症として、運動後急性腎不全と尿路結石が挙げられる。最も重篤な合併症である運動後急性腎不全は、運動後数時間してからの急激な腰背部痛、嘔気、嘔吐が特徴である。2-4週間で腎機能の改善をみることが多いが、約20%に再発を認める。有酸素運動より無酸素運動の方が、運動後急性腎不全を起こしやすいと考えられている。尿路結石の症状としては、背部痛、血尿などが挙げられる。 | |
6. 治療法 | |
合併症の予防対策として、運動前の十分な水分補給が挙げられる。また、感冒時、抗炎症薬(NSAIDなど)の内服時に運動後急性腎不全が生じやすいことが報告されており、このようなときには、急激な運動を避けることが必要である。合併症を引き起こす機序は不明であり、その解明が期待されるとともに、適切な予防策の策定と啓蒙が必要である。 | |
7. 研究班 | |
腎・泌尿器系の希少難治性疾患群に関する調査研究班 | |