その他分野|Alport症候群(アルポート症候群)(平成24年度)

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1. 概要

進行性遺伝性腎炎で、約9割がX連鎖型遺伝を呈する。重症例では男性で10代後半から20代前半に末期腎不全に進行することから、若年透析導入の主因である。糸球体基底膜に電子顕微鏡で特徴的網目状変化を認め診断に有用で、遺伝子解析も可能である。

2. 疫学

本邦の推定患者数は25,000人。

3. 原因

アルポート症候群の病因は糸球体基底膜を構成するIV型コラーゲンの遺伝子変異である。X連鎖型アルポート症候群の原因遺伝子はXq22遺伝子座に存在するIV型コラーゲンα5(IV)鎖遺伝子(COL4A5)、常染色体劣性アルポート症候群の原因遺伝子は第2染色体上のIV型コラーゲンα3(IV)鎖遺伝子(COL4A3)とα4(IV)鎖遺伝子(COL4A4)である。腎炎進行機序の詳細は不明で、その解明が今後の課題である。

4. 症状

病初期には血尿が唯一の所見である。蛋白尿は進行とともに増加してゆきネフローゼ症候群を呈することもよくある。進行性の慢性腎炎であるため、小児期には通常腎機能は正常であるが、思春期以後、徐々に腎機能が低下しはじめ、男性患者では10代後半、20代、30代で末期腎不全に至るものが多い。X連鎖型の女性患者は一般に進行が遅く、腎不全に進行することは稀でキャリアーになることが多い。

5. 合併症

神経性難聴や網膜・角膜・水晶体病変を認める。

6. 治療法

現在のところ特異的治療法はなく今後の課題である。腎不全進行予防のためアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の投与がされ一定の効果を認める。一部にシクロスポリンが有効との報告があるが、議論のあるところである。末期腎不全に至れば透析・移植が必要となる。

7. 研究班

腎・泌尿器系の希少難治性疾患群に関する調査研究班