免疫系疾患分野|IgG4関連疾患(平成24年度)

IgG4かんれんしっかん
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1. 概要

本邦より発信された新しい概念として注目されている。免疫異常や血中IgG4高値に加え、リンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により、同時性あるいは異時性に全身諸臓器の腫大や  結節・肥厚性病変などを認める原因不明の疾患である。罹患臓器としては膵臓、胆管、涙腺・唾液腺、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺などが知られている。病変が複数臓器におよび全身疾患としての特徴を有することが多いが、単一臓器病変の場合もある。自己免疫性膵炎や涙腺唾液腺炎(ミクリッツ病)などが典型的疾患である。特に、自己免疫性膵炎は膵癌や胆管癌と誤診され、外科的手術を受ける場合が多い。臨床的には各臓器病変により異なった症状を呈し、臓器腫大、肥厚による閉塞、圧迫症状や細胞浸潤、線維化に伴う臓器    機能不全など時に重篤な合併症を伴うことがある。治療にはステロイドが有効なことが多い。

2. 疫学

年間受療者数は約8,000-20,000人と推定されている。自己免疫性膵炎はじめ多くのIgG4関連疾患では高齢男性に多く認められるが、ミクリッツ病では性差はなくむしろ女性に多く認められる。

3. 原因

原因は不明であるが、自己抗体の存在、血中IgG4高値、IgG4陽性形質細胞浸潤、ステロイドが有効などより、自己免疫性疾患と考えられている。自己免疫性膵炎の領域では、最も研究が進んでおり、今回の申請者らのグループより、標的抗原の候補、制御性T細胞や自然免疫異常の関与、疾患と    相関するHLAハプロタイプ、モデル動物などが報告されており、徐々に解明しつつある。

4. 症状

障害される臓器病変にもとづく臨床症状を呈する。膵病変や胆管病変では、閉塞性黄疸を、また  後腹膜線維症では水腎症や尿閉を来すため、他の臓器病変と比較して症状が重く、患者のQOLや生命予後の悪いこともある。

5. 合併症

閉塞性黄疸、糖尿病、水腎症、尿閉、甲状腺機能低下、尿崩症など。

6. 治療法

ステロイド治療、免疫抑制剤、抗B細胞抗体(リツキシマブ)、外科的切除

7. 研究班

「IgG4関連疾患に関する調査研究」班