神経系疾患分野|スフェロイドを伴う若年性認知症(平成24年度)
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1. 概要 | |
スフェロイドを伴う若年性認知症は常染色体優性遺伝形式を取る成人発症の進行性認知症である。神経病理学的に広汎な白質変性(髄鞘や軸索の崩壊)、軸索腫大(spheroid)、マクロファージの浸潤を特徴とする。 | |
2. 疫学 | |
世界中で20-30家系が報告されている。近年原因遺伝子が単離され、症例数が増加している。 | |
3. 原因 | |
コロニー刺激因子1受容体の遺伝子異常によることが判明した。しかし、その病態機序に関してはまだ不明である。 | |
4. 症状 | |
スフェロイドを伴う若年性認知症の発症年齢はいずれも若年成人期である。初発症状は抑うつ、不安感、無気力、情緒不安定、易怒性などの精神症状であることが多い。その後、人格障害や記銘力低下、行動異常、前頭葉徴候などが出現、増悪して行く。経過中には運動麻痺やパーキンソニズム(発語・動作緩慢など)、小脳失調を呈する症例が多く、歩行障害は必発である。また、てんかんを高率に合併することが本症の特徴の一つである。進行期には寝た切りとなり、平均余命は個人差が大きいものの発症からおよそ5-10年程度である。 | |
5. 合併症 | |
主な合併症は、嚥下障害に伴う肺炎である。肺炎はスフェロイドを伴う若年性認知症の死亡原因として、最も頻度の高いものである。 | |
6. 治療法 | |
現時点では有効な治療法は確立されていない。対症療法として、アルツハイマー病に準じて抗認知症薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などが使用される。頭部画像所見から多発性脳梗塞や遺伝性脳小血管病との鑑別が困難な症例では、抗血小板薬も使用される。 | |
7. 研究班 | |
遺伝性脳小血管病およびその類縁疾患の診断基準の確立と治療法の研究班 | |