神経系疾患分野|三重県南部に多発する家族性認知症-パーキンソン症候群(平成24年度)
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1. 概要 | |
紀伊半島南部とグアム島は、パーキンソンと認知症、筋萎縮症が複合して発症する特異な神経変性疾患であるパーキンソン認知症複合 (牟婁病) の世界的多発地域として知られている。 | |
2. 疫学 | |
患者数は、数十人〜100人程度と稀少疾患。 | |
3. 原因 | |
高い家族内発症を認めることと地域特異性から遺伝子異常と環境要因が複合して発病に至る疾患と考えられるが、現在までに原因の特定には至っていない。パーキンソン認知症複合患者の脳脊髄内には、異常にリン酸化されたタウ蛋白が多量に蓄積しており、神経細胞死との関連が推定されている。 | |
4. 症状 | |
パーキンソン認知症複合の主症状は、物忘れや意欲低下を主徴とする認知症と運動緩慢やふるえといったパーキンソン症状である。また、多くの患者では筋萎縮や筋力低下といった運動疾患症状を伴う。パーキンソン認知症複合患者の70パーセント以上に本疾患の家族歴がある。平均発症年齢は、66.5歳であるが、近年発症年齢の高齢化が認められる。 | |
5. 合併症 | |
転倒などによる外傷、嚥下障害による誤嚥性肺炎や寝たきり後の尿路感染症や褥瘡など。 | |
6. 治療法 | |
有効な治療法はない。L-dopaは、一部の症例のパーキンソン症状に対して有効なことがある。また、認知症にはアルツハイマー病に用いられるコリンエステラーゼ阻害薬がある程度有効なことがある。 | |
7. 研究班 | |
三重県南部に多発する家族性認知症-パーキンソン症候群 発症因子の探索と治療介入研究班 | |