奇形症候群分野|メビウス症候群(平成24年度)
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1. 概要 | |
メビウス(1888)が疾患単位として確立した。先天性顔面神経麻痺、先天性外転神経麻痺、四肢異常を特徴とする。生後間もなく呼吸障害を生じる例から、顔面神経麻痺と外転神経麻痺に限局される例まで症状には幅がある。 | |
2. 疫学 | |
日本での発生頻度は、少なくとも生産児8万人に1人と推定される。 | |
3. 原因 | |
原因は不明である。脳幹(菱脳)の発生障害や胎生期の虚血によると考えられている。病理学的には脳神経核の低形成あるいは欠損、脳神経核の虚血性病変などが報告されている。MRIでは、脳幹奇形、第6・7脳神経異常を認めることがある。多くは孤発例である。家族例では四肢奇形を伴うことはまれであり、常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖劣性遺伝が推定されている。遺伝子座は、染色体相互転座例から13q12.2-q13、1p22が推定されている。本研究班では、病因解明に向けてゲノム解析を進行中である。 | |
4. 症状 | |
1) 先天性顔面神経麻痺(通常両側性):仮面様顔貌、閉眼障害、流涎。 | |
5. 合併症 | |
閉眼障害による結膜炎、角膜炎・びらん・潰瘍。慢性滲出性中耳炎による難聴、知的障害、自閉症、てんかん。Poland奇形、Klippel-Feil奇形、側彎。 | |
6. 治療法 | |
新生児・乳児期の哺乳障害、呼吸障害に適切に対応する。哺乳・嚥下障害では、経管栄養・胃瘻造設を考慮する。呼吸障害には吸引器、気管切開を考慮する。全身管理と共に眼科・耳鼻咽喉科・整形外科・形成外科・歯科等の専門科へのコンサルトをする。運動発達遅滞、協調運動障害には理学療法を行う。摂食・言語療法を要することも多い。表情に乏しく、コミュニケーション障害に対する心理社会的対応も必要となる。チーム医療による包括的な健康管理を行い、家族支援を行う。 | |
7. 研究班 | |
メビウス症候群の自然歴に基づく健康管理指針作成と病態解明班 | |