循環器系疾患分野|先天性QT延長症候群(平成24年度)
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1. 概要 | |
先天性QT延長症候群は心電図上著しいQT時間の延長と、多彩なT 波の形態異常を特徴とし、多形性心室頻拍などの心室性不整脈から失神・突然死を引き起こす疾患群である。 | |
2. 疫学 | |
先天性QT 延長症候群患者数は、従来考えられていたより多いと言われており、米国では5000~7000 人の出生につき1 人、有病者は50,000 人で、毎年3000 例が突然死していると言われている。同頻度で起こっているとすると、本邦では正確な統計はないが20,000人程度の患者がいると推定されている。 | |
3. 原因 | |
1995 年以降、先天性QT延長症候群は原因遺伝子が同定されるようになり、先天性QT延長症候群関連遺伝子が順次みつかってきている。これらは心筋の再分極過程に関わるイオンチャンネルやその調節蛋白遺伝子の変異であることがわかっており、原因遺伝子座によってその病型も分類される。 | |
4. 症状 | |
先天性QT延長症候群の症状は,QT 延長に伴って生じる多形性心室頻拍の発症に伴う症状である。従って、動悸、失神そして続いて起こる突然死である。 | |
5. 合併症 | |
先天性QT延長症候群の多くはイオンチャネルやその調節タンパク遺伝子の変異で起こるために、その変異遺伝子により先天性聾亜や周期性四肢麻痺などの合併症を伴う場合がある。 | |
6. 治療法 | |
多形性心室頻拍発症時の治療および心停止,突然死予防のための治療に分けられる。先天性QT延長症候群は運動やストレス等が原因で失神が誘発されるものがあり、それらに対してb遮断薬を始めとした内服薬により失神をある程度予防できる。多形性心室頻拍は自然停止する場合と心室細動に移行する場合があり、心室細動に移行すれば、ただちに電気的除細動を行う必要がある。その為に心室細動や心停止の既往のある患者は、植え込み型除細動器を手術で植え込む必要がある。 | |
7. 研究班 | |
研究代表者 | |