IgA腎症(指定難病66)

IgAじんしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「IgA腎症」とはどのような病気ですか

IgA腎症は、検尿で血尿や蛋白尿を認め、腎臓の糸球体に 免疫グロブリン のIgAという蛋白が沈着する病気で多くは慢性の経過をたどります。診断には腎臓の組織を一部採取し、顕微鏡で調べる検査(腎生検)が必要です。末期腎不全へと進行した際は、透析や腎臓移植など、腎代替療法と呼ばれる治療が必要です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

はっきりとした数はわかっていませんが、腎生検で診断がつく病気では最多で、我が国の 疫学調査 からは約33,000人の患者さんがいると推計されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

患者さんは、子供から大人まで広い年齢層にわたります。男性に多いと海外では報告されていますが、我が国でははっきりとした性差はありません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

原因不明ですが、腎臓に沈着するIgAは血液中に増加している異常なIgA(糖鎖異常IgA)に由来すると考えられます。

5. この病気は遺伝するのですか

一般的に遺伝しませんが、一部に 家族性 のIgA腎症を認めることがあります(家族性IgA腎症)。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

学校検尿や職場検尿の機会に偶然蛋白尿や血尿を指摘されることが多く、初期は無症状です。進行すると腎機能が低下し、高血圧の合併や腎不全に伴う症状がでます。一部の患者さんでは、急性扁桃炎などの上気道炎合併時に、コーラのような色の血尿(肉眼的血尿)を認めますが、通常は自然に改善します。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

治療は、腎機能や蛋白尿の程度によって異なります。食事療法としては減塩を行います。腎機能低下を認める場合はたんぱく質制限が必要になることもあります。禁煙や肥満の方は減量が勧められます。運動制限は通常必要ありません。薬物治療では高血圧を認める場合にRA系阻害薬が用いられます。患者さんによっては副腎皮質ステロイド、口蓋扁桃摘出術、免疫抑制薬、抗血小板薬、魚油などが用いられることがあります。最近では新規治療薬の治験が進行中です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

高血圧などの合併症の有無や発見時の腎機能低下度にもよりますが、ゆっくりと進行し、徐々に腎機能が低下していく患者さんがいます。治療法にもよりますが、合併症もなく蛋白尿や血尿の程度が軽い患者さんは、通常は腎機能の低下を認めず安定した状態を維持します。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

喫煙されている方は禁煙が勧められます。肥満の方は減量が勧められます。運動制限は通常必要ありませんが、医師の指示に従ってください。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

ベルジェ(Berger)病

11. この病気に関する資料・関連リンク

・エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020
https://jsn.or.jp/academicinfo/report/evidence_IgA_guideline2020.pdf
・IgA腎症診療指針―第3版
https://cdn.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/free/kousei/pdf/53_2_123-135.pdf
・エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023

・KDIGO Guidelines:GLOMERULAR DISEASES (GD)
https://kdigo.org/guidelines/gd/  

 

情報提供者
研究班名 難治性腎障害に関する調査研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和6年6月)