アントレー・ビクスラー症候群(指定難病184)
1. 「アントレー・ビクスラー症候群」とはどのような病気ですか
頭蓋骨の成長が制限される「頭蓋骨早期癒合」と、骨の癒合のため肘の関節が固定される「上腕骨橈骨癒合」を特徴とする、 先天性 の疾患です。多くの方では、ステロイドホルモンの不足を伴います。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
約900人(クルーゾン症候群、アペール症候群、ファイファー症候群、アントレー・ビクスラー症候群の合計)です。
3. この病気はどのような人に多いのですか
男女比は1:1です。欧米に比べ、日本人にやや多い可能性があります。
4. この病気の原因はわかっているのですか
PORという遺伝子の変異が原因です。病態のメカニズムはほとんど解明されていません。
POR遺伝子の遺伝学的検査は保険収載されています。遺伝学的検査を受ける際には、医療機関受診と遺伝カウンセリングが必要です。
5. この病気は遺伝するのですか
劣性遺伝という遺伝の仕方をします。このため、親子間での遺伝はありませんが、きょうだいが同じ病気になる可能性はあります。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
頭蓋骨早期癒合のため、脳の発達が妨げられ、眼球が突出したりします。上腕骨橈骨癒合のため、肘の関節の運動が制限されます。肘以外の関節も、曲がりにくかったりします。このほかに、鼻や気管が狭いため、呼吸が苦しくなりやすい場合もあります。鼻や耳の形にも特徴があります。ステロイドホルモンが不足するため、男の子では性器の発育不全を生じますが、女の子では逆に陰核が肥大した状態で生まれることがあります。また、慢性副腎不全という状態となり、疲れやすかったり、体重が増えないという症状がでることもあります。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
ステロイドホルモンのうち、副腎ホルモンに関しては、補充療法が必要となることが多いです。女のお子さんは、思春期以降に女性ホルモンの投与を行うこともあります。
頭蓋と顔面に対しては、頭蓋や顔面骨を広げる手術を行います。近年では、広げたい骨の所に延長装置を取り付けて毎日少しずつ伸ばしていく骨延長法を行うことが多くなっています。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
ステロイドの服用と適切な時期に手術を受けることで 予後 は比較的良いです。しかし、成人までに複数回の手術を要します。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
ステロイドの服用を忘れないことです。また頭蓋内圧 亢進 症状による頭痛や嘔吐・吐き気、あるいは呼吸状態に注意を払う必要があります。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
該当する病名はありません。
研究班名 | 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月) |