リジン尿性蛋白不耐症(指定難病252)

りじんにょうせいたんぱくふたいしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

蛋白質をとるとアンモニアが上がるので蛋白質は控えめにしていますが、いっそのこと完全除去をしてもよいでしょうか。

全く蛋白質を摂らなくなるのは危険です。患者さんは蛋白質を摂りすぎると血中のアンモニア値が上がって、嘔気や嘔吐、腹痛をおこしたり、気分が悪くなったりするので、もともと摂取を避けがちです。でも全く蛋白質を摂らなくなると今度は体を作っている蛋白質が壊れてしまい、様々な不調を来します。何よりも、逆に血中アンモニアが上がりやすくなるという難点があります。1日の摂取蛋白量を気にかけることは大変な煩わしさがありますが、患者さんによって摂取できる蛋白量にも個人差がありますので、主治医の先生とも相談しながらちょうどよい量をみつけていかれることをおすすめします。多くの患者さんは薬物療法を併用することで、摂取できる蛋白質量が増える傾向にあります。

この病気は遺伝子の病気とききました。こどもも同じ病気になるのでしょうか。

リジン尿性蛋白不耐症は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式をとる病気です。私達の体には、約2万2千種類の遺伝子がありますが、これらの多くは2本でペアになって存在しています。1本はお父さんから、もう1本はお母さんから受け継いだものです。リジン尿性蛋白不耐症に関係するのはSLC7A7という遺伝子です。患者さんではSCL7A7の2本ともに変異が認められます。このように2本とも変異があることで発症する遺伝のしかたを常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)といいます。ちなみに、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)疾患においては1本だけに変異がある場合は発症しません。このような方を保因者と呼びます。
患者さんのお子さんが発症するかどうかについてですが、1)患者さんのパートナーが保因者であった場合は、お子さんは50%の確率でリジン尿性蛋白不耐症を発症します。また、2)患者さんのパートナーが保因者ではない場合は、お子さんは発症しません。ただし保因者となります。
保因者のかたには症状は現れないので、健康状態から保因者かどうかを区別することはできません。
ちなみに、患者さんの遺伝子変異が突然変異でない限り、お父さんお母さんは保因者である可能性が高く、その場合患者さんのご兄弟は25%の確率で同じ病気を呈する可能性があります。
ご自分が、またはパートナーが保因者かどうかをご心配されることがあるかもしれませんが、この病気の患者さんの数がとても少ないので、一般人口における保因者頻度もかなり低いことが想像されます(正確な保因者頻度は不明)。個々のケースによってご相談内容は異なりますので、詳しくはお近くの医療機関で遺伝カウンセリングを受けられることをおすすめします。

L-シトルリンはどのように入手したらよいでしょうか。

現在、日本でL-シトルリンは医薬品として認可されていないことから医療機関で処方を受けることはできません。しかしながらその有用性については多くの報告があります。そのため日本先天性代謝異常学会の対応として、現在は主治医の申し出により一般社団法人日本小児先進治療協議会を通し有償で供給するシステムをとっています。詳しくは学会事務局へお問い合わせください。もしくは食品(サプリメント)として、適宜入手していただくことも可能です。

(問い合わせ先)
日本先天性代謝異常学会 事務局
https://jsimd.net/contact.html

 

情報提供者
研究班名 新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年12月(名簿更新:令和6年6月)