ウィーバー症候群(指定難病175)
1. 「ウィーバー(Weaver)症候群」とはどのような病気ですか
多彩な症状を呈する先天異常症候群の一つです。出生前から過成長(高体重、高身長)を示し、出生後も続きます。骨年齢促進(実際の年齢より骨の成熟が早い)、特徴的な顔貌(大きい頭、目と目の間が離れている、あごが小さい、耳が大きい、など)、軽度~中等度の精神発達遅滞、粗く低い泣き声、臍帯ヘルニア(へその緒の中に胃や腸などが出たままの状態)、指や手足の関節伸展・拘縮、柔らかくしっとりした皮膚、細く粗な毛髪などの症状を呈します。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
海外の症例を含めて50例以上の報告があります。
3. この病気はどのような人に多いのですか
この病気になりやすい特徴は特にありません。
4. この病気の原因はわかっているのですか
EZH2という遺伝子が原因であるとわかっています。現在は遺伝学的検査が保険収載されています。遺伝学的検査を受ける際には、医療機関受診と遺伝カウンセリングが必要です。
5. この病気は遺伝するのですか
お子さんがウィーバー症候群である場合には、その弟妹がウィーバー症候群として産まれてくることは稀です。将来、患者さんの子供がおなじくウィーバー症候群である確率は50%です。遺伝について、ご不安な点がある場合、臨床遺伝専門医などの 遺伝カウンセリング を受けられることをお勧めいたします。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
出生前から過成長(高体重、高身長)を示し、出生後も続きます。骨年齢促進(実際の年齢より骨の成熟が早い)、特徴的な顔貌(大きい頭、目と目の間が離れている、あごが小さい、耳が大きい、など)、軽度~中等度の精神発達遅滞、粗く低い泣き声、臍帯ヘルニア(へその緒の中に胃や腸などが出たままの状態)、指や手足の関節伸展・拘縮、柔らかくしっとりした皮膚、細く粗な毛髪などの症状を呈します。また、患者さんの数が少なく根拠に乏しいものの、神経芽細胞腫などの腫瘍を合併しやすい可能性がありますので、年に1回程度の検査をした方が良いでしょう。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
根本的な治療法はありません。基本的に、患者さんの症状に合わせた対症療法を行います。精神発達遅滞については、理学・作業・言語療法を行います。屈指、関節拘縮、側弯については、整形外科的な治療を考慮します。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
患者さんによって様々ですが、多くの患者さんは通常の寿命を生きるとされています。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
患者さんの症状に合わせた対症療法を行いますので、患者さんによって注意点が異なると考えられます。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
該当する病名はありません。
11. この病気に関する資料・関連リンク
小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/disease/details/13_01_006/
用語解説
先天奇形症候群:染色体や遺伝子の変異により、発生の過程で器官などが異常な形態を示すことを先天奇形といい、特徴的ないくつかの異常形態を示す場合に先天奇形症候群と呼びます。
遺伝子変異:遺伝子は、G、C、T、Aという四種類のDNAが、ひもの様に連なって構成されています。DNAの並び方が変わったり、一部がなくなったりすることを変異と言います。変異した遺伝子は、正常に働かないようになります。
常染色体顕性遺伝(優性遺伝) :ヒトの染色体は、父親由来、母親由来の2本1組になっていて、全部で46本、23組あります。22組が常染色体で、1組が性染色体です。遺伝子は染色体上にあるので、遺伝子も父親由来、母親由来が一個ずつあります。常染色体顕性遺伝(優性遺伝)病では、常染色体にある父親由来と母親由来,の遺伝子のどちらか一方が変異をした場合に病気になり、50%の確率で変異遺伝子が子どもに伝わります。
研究班名 | 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月) |