メンケス病(指定難病169)

めんけすびょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「メンケス病」とはどのような病気ですか

生まれつき銅が欠乏する病気です。食事中から摂取された銅が体内に吸収されず、中枢神経細胞が銅欠乏に陥ることと、銅を必要とする 酵素 が働かなくなることで様々な症状が出ます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

平成22~23年度の調査では、過去10年間で62名の患者さんがみつかりました。発症率は男児出生100万人当たり8.03人(約12万人に1人)です。

3. この病気はどのような人に多いのですか

X染色体潜性遺伝(劣性遺伝)による病気で、原則的に男児に発症します。

4. この病気の原因はわかっているのですか

銅を輸送する酵素であるATP7Aの遺伝子変異が原因です。

5. この病気は遺伝するのですか

します。母親が 保因者 の場合、男児の1/2に発症します(母親が保因者ではない突然 変異 例もあります)。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

脳障害(発達の遅れや退行、けいれん、など)と結合織異常(血管壁異常による頭蓋内出血、膀胱憩室による尿路感染症、骨粗鬆症に伴う骨折、など)が 重篤 です。診断のきっかけとしては頭髪異常(少なく、細く縮れ、色が薄い)が新生児期からみられます。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

根本的な治療法はありません。神経症状がみられる前の新生児期にヒスチジン銅の皮下注射(保険適用はありません)をすれば、神経症状の軽減が期待できますが、結合織異常には効果がありません。また、新生児以降に治療を開始した場合は、神経症状に対する効果は全くありません。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

生後2~3ヶ月以降から発達の遅れ、けいれんがみられるようになります。けいれんは薬物治療でおさまらず、次第に寝たきりになります。その他、骨折、下痢、頭蓋内出血、膀胱憩室などを併発します。感染症を契機に幼児期までに致命的になることが多いです。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

感染症に罹りやすく、重症になりやすいので、注意して早めに対応することが大事です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

ATP7A欠損症
キンキヘア病(kinky hair disease)

 

情報提供者
研究班名 新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月)