遺伝性膵炎(指定難病298)
いでんせいすいえん
- 我が国では慢性膵炎の約7割がお酒の飲み過ぎが原因です。飲酒を始めてから20-30年くらいして繰り返す腹痛で発症することが多く、平均して50歳台で症状が出始めます。一方、遺伝性膵炎の患者さんは、幼少期から腹痛、悪心、嘔吐、下痢などの症状を繰り返します。多くの場合、親御さんなど他の家族の方にも慢性膵炎や再発する急性膵炎の患者さんがみられます。
通常の慢性膵炎とどのように違うのですか
- 通常の慢性膵炎や再発性急性膵炎であることに加えて、“遺伝性”であることの診断が必要になります。我が国では、慢性膵炎や再発性急性膵炎の患者さんのうち、①家系内に他に1人以上の再発性急性膵炎ないし慢性膵炎の患者さんがいること、②少なくとも1人の患者さんには、大量飲酒など成因と考えられるものが認められないこと、③単一世代(すなわち兄弟姉妹)のみの場合、少なくとも1人の患者さんは40歳以下で発症している、の3項目いずれをも満たす場合に遺伝性膵炎と診断されます。また、カチオニックトリプシノーゲンという遺伝子にp.R122Hないしp.N29I変異と呼ばれる異常がある場合には、家族の方に膵炎がいなくても、遺伝性膵炎と診断されます。
どうやって診断するのですか
- カチオニックトリプシノーゲンの遺伝子解析(p.R122Hないしp.N29I変異)は保険適応となっています。また、東北大学や順天堂大学など一部の大学で膵炎に関する研究を目的として遺伝子解析が行われています。まずは主治医の先生に相談をされてみてください。
遺伝性解析はどこで行ってもらえますか
- 腹痛や背部痛などの症状がある時期には、脂肪の多い食事や香辛料、多量のコーヒーを避けるなど、通常の慢性膵炎と同様に、食事内容への注意が必要です。一方、飲酒や喫煙は膵炎の進行のみならず、膵癌のリスクを上昇させるため、厳に控えるべきです。
注意すべき生活習慣はありますか?