ウェルナー症候群(指定難病191)

うぇるなーしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

ウェルナー症候群を疑う必要があるのはどんな場合ですか?また患者は認知症も進みますか?

白髪や脱毛など年齢より老けてみえる外見に加え、「かん高いかすれ声」、「30歳代で両目とも白内障」、「足のレントゲン検査でアキレス腱が石灰化している」、「足に深いキズができて治りにくい」などの特徴があれば疑いが増します。一方、ウェルナー症候群では記憶力が損なわれることは少なく、認知症はほとんど報告されていません。

ウェルナー症候群かもしれないと思ったら、どこに相談すればよいですか?

基本的には、公表されている診療ガイドラインなどに基づいて臨床診断を行うことはどこの施設でも可能です。しかし稀な病気ですので、実際に診療経験がある医師・医療機関は限られています。現在、遺伝子検査を含めた詳しい診断・診療を行っているのは千葉大学(糖尿病・代謝・内分泌内科)で、他に連携している名古屋大学、奈良県立医科大学、東京都健康長寿医療センターなど診療実績がある施設がいくつかあります。千葉大学では現在ウェルナー症候群の診療経験のある医療機関のリストをホームページに掲載しています。 (https://www.m.chiba-u.jp/dept/clin-cellbiol/werner/)また、遺伝に関する相談(カウンセリング)も行っています。

ウェルナー症候群の患者・家族会はありますか?どのような活動をしていますか?

患者さんやご家族のために「ウェルナー症候群患者・家族の会」が設立されています。患者・家族会の活動としては、ウェブ上でのミーティングを数ヶ月に一回行い、生活上の困難や工夫などについて患者・家族どうしの情報交換や親睦を深め、また一部では診療する医師も参加し交流しています。また海外から研究者を招いたり、外国の患者さんとも交流してきました。このような活動に加え、ホームページを通じてこの病気の知識を社会に広めて対策が進むよう活動を続けています。これらの活動の甲斐もあって2015年からウェルナー症候群が難病指定を受けることができました。なお、患者・家族会への入会はご本人・ご家族のご希望次第ですので、興味がおありの方はお気軽にご相談下さい。
(ウェルナー症候群患者・家族の会ホームページ:
http://8nkanja.8nkazoku.justhpbs.jp/

足の潰瘍予防・保護のための装具はどのように入手できるのでしょうか?

医師の診察・処方(医療保険)や障害者手帳により、それらを取り扱う装具会社で治療用靴などの装具を個人用に作成・調整することができます。

がんや心筋梗塞が多いと聞いたのですが、患者としてどのような点に気をつければよいですか?

ウェルナー症候群ではがんや心筋梗塞が起こりやすくなりますが、いずれも早い段階から診断することで治療や予防ができるので、定期的に医師の診察を受けることが大事です。がんについては骨や筋肉のがん、ほくろのがん(悪性黒色腫)、甲状腺のがんなど比較的珍しい種類のがんが多いという特徴があります。いずれも早期発見して対処することが重要ですので、次第に大きくなっていくほくろやしこりが触れるなど、ご自身でも気になったら主治医にご相談下さい。定期的ながんのスクリーニングについても、主治医と相談してください。また心筋梗塞など動脈硬化の病気は、糖尿病やコレステロールをしっかり管理できていれば防ぐことができますので、主治医と相談しながら生活習慣の改善や内服薬など必要な治療を続けて下さい。

家族にウェルナー症候群の患者がいます。ある人と結婚を考えていますが、子供に病気が遺伝する可能性を調べられますか?

基本的には、そういう目的での遺伝子検査や胎児の出生前診断は行われていません。遺伝子変異を調べたい場合、遺伝子カウンセリングを含めて関係する方全員がきちんと説明を受け、内容や不利益まで十分理解した上で同意書を作成する必要があります。この病気の遺伝子検査をおこなっている千葉大学にご相談下さい。

 

情報提供者
研究班名 早老症の医療水準向上と予後改善を目指す集学的研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和6年10月(名簿更新:令和6年6月)