代謝疾患分野|遺伝性高チロシン血症Ⅲ型(平成22年度)
いでんせいこうちろしんけっしょういちがた
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1. 概要 | |
遺伝性高チロシン血症Ⅲ型 [MIM276710 HEREDITARY TYROSINEMIA TYPE Ⅲ]は4-ヒドロキシフェニルピルビン酸酸化酵素 (HPD: EC1.13.11.27)が欠損している。またホーキンシン尿症もHPD異常により発症する常染色体優性遺伝性疾患である。 | |
2. 疫学 | |
常染色体劣性の遺伝形式をとり、12番染色体長腕(12q24-qter)上に原因遺伝子であるHPDが存在する。まれな疾患であるが、無症状で経過することもあるため、診断されていない症例が存在すると考えられる。 | |
3. 原因 | |
4-ヒドロキシフェニルピルビン酸酸化酵素 (HPD: EC1.13.11.27)が欠損しているため、チロシンのαケト酸である4-ヒドロキシフェニルピルビン酸とチロシンが増加する。尿中への4-ヒドロキ シフェニルピルビン酸とその酸化物の排泄も著明に増加している。 | |
4. 症状 | |
Ⅰ型、Ⅱ型よりも軽度であり、無症状の症例も存在する。これまでに失 調、痙攣、軽度の精神発達遅延などが報告されている。これらはⅠ型、Ⅱ型には見られない症状であり、体液中における4-ヒドロキシフェニルピルビン酸の増 加が関連している可能性がある。このような症状をきっかけに診断される症例が少なくないことから、実際は無症状の例が多く存在することが考えられる。 | |
5. 合併症 | |
失調、痙攣、軽度の精神発達遅延などが報告されている。 | |
6. 治療法 | |
低フェニルアラニン・低チロシン食、特殊ミルクによる食事療法を行う。 | |
7. 研究班 | |
高チロシン血症を示す新生児における最終診断への診断プロトコールと治療指針の作成に関する研究班 |