拘束型心筋症(指定難病59)
1. 拘束型心筋症とは |
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拘束型心筋症とは、心室の拡張や肥大を伴わず、見た目の心臓の動きも正常であるにも関わらず、心臓が硬くて広がりにくいため心不全としての症状をきたす病気です。このような病態は、様々な病気に伴い発生します(二次性拘束型心筋症といいます)が、一般に「拘束型心筋症」と言う場合は、特発性つまり原因がわからずこの疾患を発症した場合のことを指します。 |
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表 拘束型心筋症の分類
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2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか。 |
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特発性拘束型心筋症を持っておられる患者さんの人数は正確にはよくわかっていませんが、他の心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症)に比べて非常に少ないと考えられています。この病気の患者さんを多くいるのは、アフリカ、インド、中南米、そして一部のアジアの国々です。 |
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3. この病気はどのような人に多いのですか |
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現時点では明らかに年齢や性別で発症しやすい特徴があるという報告はありません。また、居住地などにも関係はないと考えられています。 |
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4. この病気の原因はわかっているのですか |
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正確にはわかっていません。二次性の場合でも発病するメカニズムは多くの場合不明です。 |
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5. この病気は遺伝するのですか |
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拘束型心筋症の原因として心臓の構造を規定する蛋白に関する遺伝子変異が指摘されています。しかし、それが遺伝するかは不明です。拘束型心筋症をきたす家系は非常に稀であることより、一般的な意味で遺伝する可能性は低いのではないかと考えられています。 |
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6. この病気ではどのような症状がおきますか |
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軽症の場合は症状がないこともありますが、進行すると動いた時の息切れ感、むくみ、動悸、疲れやすい、体がだるいなどの症状が出現します。肝臓や脾臓が腫大し、さらに進行すると腹水が溜まります。また、 心房細動 という不整脈が発症しやすく、それに伴い心臓の中に血のかたまり(血栓)ができ、それが剥がれて末梢の血管に詰まるという 塞栓症 (脳塞栓症、腎塞栓症など)が起きやすくなります。 |
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7. この病気にはどのような治療法がありますか |
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まず、病態は類似していますが治療方針が異なる収縮性心膜炎との鑑別が重要で、これには専門医の診断が必要です。特発性拘束型心筋症は原因がわからないことより、その病気に 特異的 な治療法はありません。また、二次性拘束型心筋症ではその基礎疾患を治療することになりますが、この基礎疾患に対しても有効な治療法がないことも多く、中心となる治療法は心不全、不整脈、血栓塞栓症の予防になります。 |
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1)心不全の治療 |
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心不全症状は うっ血 が中心になることより、主に利尿薬が使われます。また、心筋の傷害を軽減するためにアンジオテンシン変換 酵素阻害薬 やアンジオテンシン受容体遮断薬が用いられることもあります。 |
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2)不整脈の治療 |
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心房細動が最も多い不整脈であり、この不整脈が出現すると心臓の働きも急速に低下してしまいます。脈拍が上がりすぎないようにある種のカルシウムチャンネル遮断薬、β受容体遮断薬が用いられます。ジギタリスも心不全治療と合わせて使用される場合がありますが、副作用に注意が必要です。心室頻拍などその他の重症心不全も発症する可能性があり、必要に応じて抗不整脈薬などが使われます。 |
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3)血栓・塞栓症の予防 |
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心房細動がある症例には、塞栓症予防のため、長期間にわたって 抗凝固療法 が必要になります。 |
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8.この病気はどのような経過をたどるのですか |
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この病気の 予後 は、基礎疾患によって様々です。成人の特発性について、海外から5年生存率64%、10年生存率37%という報告もありますが、そのまま日本人に当てはめていいかどうかは不明です。ただ、決して予後は良好といえないことより、特に小児特発性拘束型心筋症の場合は積極的に心臓移植の適応を考慮することになります。二次性拘束型心筋症の中では、特にアミロイドーシスによるものは不良で、心機能低下が認められてから数年以内、さらに心不全症状が出現してからは半年程度の予後と考えられています。 |
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9. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。 |
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該当する病名はありません。 |
研究班名 | 特発性心筋症の診断・ゲノム情報利活用に関する調査研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月) |