奇形症候群|サブテロメア微細構造異常症(平成23年度)
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1. 概要 | |
サブテロメア微細構造異常症は、染色体末端部サブテロメア領域の微細なゲノム構造異常(欠失あるいは重複)を原因とする先天異常症候群で、多発奇形・精神遅滞の症状を呈する。一般的に多発奇形・精神遅滞の原因の殆どは不明だが、5~10%はサブテロメア微細構造異常に起因する。本症は比較的高い発生頻度を呈しながら、実態・発生頻度や合併症管理・治療指針が殆ど明らかにされていない疾患である。疾患としては、領域ごとにまとめることができ、代表的なものとして1q44欠失症候群、6p25欠失症候群、9q34欠失症候群、22q13.3欠失症候群などがあげられる。 | |
2. 疫学 | |
原因不明の多発奇形・精神遅滞症例の5~10%はサブテロメア微細構造異常症と考えられている。精神遅滞が一般集団の1~3%に見られ、特に重度精神遅滞は約0.3%存在すると考えられていることから、サブテロメア微細構造異常症は一般集団においては3,000~4,000出生に1例と考えられる。この値は、小児病院遺伝外来受診症例から推定した値とほぼ一致している。 | |
3. 原因 | |
サブテロメアが注目される理由は、転座により症状発現が確認しやすいことのほかに、サブテロメア微細構造異常症が手がかりとなり病因が明らかにされた例は少なくない(22qサブテロメア欠失と自閉症原因遺伝子SHANK3の同定、1pサブテロメア欠失と額顔面異常原因遺伝子SKI proto-oncogeneの同定)からである。精神遅滞や多発奇形、さらには自閉症などの病因解明の大きな手掛かりになるのがサブテロメア微細構造異常症である。各症例ごとの欠失・重複範囲をより詳細に解析することにより特徴的症状や精神遅滞、行動異常の原因の解明が可能となる。 | |
4. 症状 | |
重度精神遅滞、多発奇形、成長障害、サブテロメアの領域によっては過成長をきたすこともある。 | |
5. 合併症 | |
サブテロメアの領域ごとに症状は多岐に及ぶ。中枢神経系奇形、心奇形、顔貌異常、四肢骨格異常、眼科的異常(屈折異常)、腎・泌尿器系の奇形、口腔歯科的異常。消化管異常など。てんかんを比較的高い割合で合併する領域もある。全身臓器に及ぶこともある。 | |
6. 治療法 | |
対症療法が中心となる。発達遅滞・精神遅滞に対しては、療育訓練が重要である。てんかんに対しては抗てんかん剤投与など。内分泌学的異常に対しては、ホルモンの補充なども考慮する。合併症の種類に応じた、見通しを立てながらの医療が極めて重要である。専門医(臨床遺伝など)による定期健診が重要である。 | |
7. 研究班 | |
サブテロメア微細構造異常症の実態把握と医療管理指針作成に関する研究班 | |