代謝疾患分野|サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ欠損症(平成23年度)

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1. 概要

サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼの欠損により、肝臓でつくられたケトン体を、脳をはじめとする肝外臓器、組織が利用できず、血中にケトン体が蓄積して重篤なケトアシドーシス発作を来す疾患。

2. 疫学

世界で40例程度の報告例、日本では7家系9症例(未診断例多い)。

3. 原因

サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子の異常により、本酵素活性の低下によって、ケトン体利用が障害され、ケトアシドーシス発作をきたす常染色体劣性遺伝性疾患である。診断のための特異的な有機酸などがないため、診断が難しい。

4. 症状

発作間欠期はまったく無症状。感染に伴う発熱、胃腸炎などによる嘔吐などに伴い、重篤なケトアシドーシス発作をきたし、意識障害をきたし、発作が重篤だと死に至ったり、後遺症をきたすことがある。発作間欠期には無症状ではあるが、典型例では持続的ケトーシスが認められる。しかし非典型例では持続的ケトーシスがなく、診断がさらに難しい。

5. 合併症

ケトアシドーシス発作による死亡、後遺症による精神運動発達遅滞

6. 治療法

1)ケトアシドーシス発作の予防〜感染時、食事摂取が難しいときには早期のグルコースの点滴補給。                              
2)蛋白制限食〜軽度に蛋白摂取を制限する。                  
3)ケトアシドーシス発作時には、十分なグルコース点滴とアシドーシスの補正、呼吸管理を含む支持療法。

7. 研究班

先天性ケトン体代謝異常症(HMG-CoA合成酵素欠損症、HMG-CoAリアーゼ欠損症、β-ケトチオラーゼ欠損症、SCOT欠損症)の発症形態と患者数の把握、診断治療指針に関する研究班