ミトコンドリアで、β酸化系で産生されたアセチル-CoA、アセトアセチル-CoAからHMG-CoAを合成する酵素の欠損症である。細胞質にあるHMG-CoA合成酵素はコレステロール合成に重要な酵素であるが、本酵素はこれとは全く別の酵素で、別の遺伝子にコードされている。

世界で８例程度、日本での報告例はない（未診断例があると考えられる）。

ミトコンドリアで、β酸化系で産生されたアセチル-CoA、 アセトアセチル-CoAからHMG-CoAを合成する酵素（ミトコンドリアHMG−CoA合成酵素）の欠損により、ケトン体を産生することができず、空腹時など血糖を維持することができず、非ケトン性低血糖症を引き起こす。常染色体劣性遺伝性疾患である。本酵素の活性測定は難しく、そのため診断確定例が少ない。現在最も有用なのは遺伝子診断と考えられる。診断を疑って検査しないと診断は不可能。多くの未診断例があると思われる。

これまでの報告例では、生後６ヶ月〜４歳で。急性胃腸炎などに伴って、低血糖による昏睡、痙攣で発症している例がほとんどである。発作時には肝腫大を多くの例で指摘されている。患者が少ないのではなく、未診断例が多いと思われる。

これまで診断されている例は１～２回の低血糖発作で診断されていて、診断後は予後良好。しかし未診断例では、反復性の低血糖などで、発達遅滞をきたしている可能性が高い。

低血糖発作を防ぐことが重要。発熱、飢餓時などの早期グルコース投与が重要。

先天性ケトン体代謝異常症（HMG-CoA合成酵素欠損症、HMG-CoAリアーゼ欠損症、β-ケトチオラーゼ欠損症、SCOT欠損症）の発症形態と患者数の把握、診断治療指針に関する研究班