奇形症候群分野|ウォルフヒルシュホーン 症候群(平成24年度)
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1. 概要 | |
4番染色体短腕に位置する遺伝子群の欠失により引き起こされる疾患であり、重度精神遅滞、成長障害、難治性てんかん、多発奇形を主徴とする。 | |
2. 疫学 | |
5万出生に1人,おそらく1000人以下と推定 | |
3. 原因 | |
本症の一部では、染色体検査により4番染色体短腕に欠失があることが証明されるため、4番染色体短腕に位置する遺伝子群の半数不全(haplo-insufficiency)が原因と考えられるが、WHSC1(Wolf-Hirschhorn syndrome candidate 1)はヒストンメチル化酵素であり、ウォルフヒルシュホーン症候群の症状の一部はヒストンメチル化異常と関連する。 | |
4. 症状 | |
特徴的顔貌、成長障害、重度精神遅滞、筋緊張低下、難治性てんかん、摂食障害など | |
5. 合併症 | |
頭部・顔面非対称、難聴、眼瞼下垂、視神経異常、歯牙異常、先天性心疾患、唇裂口蓋裂、性腺・腎尿路障害、脳形態異常、IgA欠損症、睡眠障害など | |
6. 治療法 | |
精神遅滞にたいしては、運動発達、認知、言語、社会性の能力を伸ばすための訓練などを行う。けいれんに対しては、抗けいれん薬(バルプロ酸、Ethosuximide、 Diazepam等)の投与を行う。摂食障害に対しては、摂食訓練を行う。また、胃食道逆流症がある場合は胃瘻造設、噴門部縮小術などの外科的治療を行う。その他の合併症に対しては、通常どおりの治療・ケアを継続して実施する。 | |
7. 研究班 | |
先天性異常の疾患群の診療指針と治療法開発をめざした情報・検体共有のフレームワークの確立 | |