奇形症候群分野|アンジェルマン症候群(平成24年度)
あんじぇるまんしょうこうぐん(AS)
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1. 概要 | |
重度精神遅滞、てんかん、失調性運動障害、容易に引き起こされる笑いなどの行動を特徴とする疾患である。15,000出生に一人くらいの頻度であり、日本には3000名以上が存在すると考えられる。 | |
2. 疫学 | |
約3000名 | |
3. 原因 | |
15番染色体q11-q13に位置する刷り込み遺伝子UBE3Aの機能喪失により発症する。UBE3Aは神経細胞では母由来アレルのみが発現しており、ゲノム刷り込み現象により発現が制御されている。UBE3A機能喪失の機序として、母由来染色体15q11-q13の欠失、15番染色体の父性片親性ダイソミー、刷り込み変異、UBE3Aの変異が知られている。UBE3Aは経験依存的シナプス可塑性に必須の蛋白と考えられており、経験依存的シナプス可塑性の障害が脳障害の主要な原因と考えられている。 | |
4. 症状 | |
重度精神遅滞、てんかん、失調性運動障害、容易に引き起こされる笑いなどの行動異常、睡眠障害、低色素症、特徴的な顔貌(尖った下顎、大きな口)。 | |
5. 合併症 | |
内臓合併症はほとんどない。 | |
6. 治療法 | |
てんかん発作に対しては抗てんかん薬、睡眠障害に対しては睡眠薬などの対症療法。包括的な療育が望まれる。 | |
7. 研究班 | |
先天性異常の疾患群の診療指針と治療法開発をめざした情報・検体共有のフレームワークの確立 | |