奇形症候群分野|ロイス・ディーツ症候群(平成24年度)
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1. 概要 | |
マルファン症候群に類似する大動脈、骨格病変を主所見とするが、口蓋裂・二分口蓋垂・眼間解離などの特徴的な顔貌、全身動脈の蛇行、頭蓋骨早期融合、先天性心疾患、精神発達遅滞などをしばしば伴う疾患でTGFβ受容体(1型あるいは2型)遺伝子(TGFBR1, TGFBR2)の変異(機能障害)を認める。症状は非常に多彩で、以前には水晶体亜脱臼を伴わないマルファン症候群(2型)と呼ばれたものも含み、しばしばマルファン症候群との鑑別が必要となる。 | |
2. 疫学 | |
約3,000人 | |
3. 原因 | |
TGFBR1あるいはTGFBR2遺伝子のヘテロ変異(機能障害)による常染色体優性遺伝性疾患であるが、半数以上は新規突然変異により発症する。現時点では遺伝子変異同定が診断根拠となる。遺伝子変異によりTGFβシグナルの活性化などの機能異常を生じ、大動脈など血管系をふくむ全身の結合組織の脆弱化を生じているとされるが、病態の詳細は不明である。 | |
4. 症状 | |
マルファン症候群と同様に、大動脈病変(基部拡張・大動脈瘤・大動脈解離)、骨格病変が特徴的である。マルファン症候群との鑑別が問題となる症例も少なくないが、水晶体亜脱臼は通常みられず、高身長を認めない例も少なくない。一方、全例ではないが、口蓋裂・二分口蓋垂・眼間解離などの特徴的な顔貌、全身動脈の蛇行、頭蓋骨早期融合、先天性心疾患、精神発達遅滞などの合併を認める例がある。血管病変は大動脈のみならず、全身の動脈蛇行や脳動脈を含む中小動脈の瘤の合併が多いとされている。 | |
5. 合併症 | |
マルファン症候群と同様に、大動脈瘤解離による急性循環不全、大動脈弁閉鎖不全等による心不全をきたすことがある。他の大動脈疾患に比べ、血管病変はより若年で生じ、大動脈拡張が軽度であっても解離にいたる傾向が指摘されている。そのほか、脳動脈瘤、口蓋裂、斜視、頸椎不安定症、側彎症、内反足がある。妊娠・分娩時の子宮破裂の報告もあるが稀である。 | |
6. 治療法 | |
大動脈瘤・解離に関しては内科的に降圧剤(βブロッカーなど)による血圧コントロールが行われるが、大動脈弁閉鎖不全、解離予防、急性解離に対して、大動脈弁置換を含む人工血管置換術などの外科的治療を行う。口蓋裂、斜視に対しては外科的修復が行われる。頸椎不安定症、側彎症、内反足に対しては固定術あるいは整形外科的修復が行われる。 | |
7. 研究班 | |
先天性異常の疾患群の診療指針と治療法開発をめざした情報・検体共有のフレームワークの確立 | |