亜急性硬化性全脳炎(SSPE)(指定難病24)
あきゅうせいこうかせいぜんのうえん(SSPE)
- 麻疹ウイルスによる病気ですが、変異したウイルスが脳内に潜伏しているので、人にうつるということは全くありません。勿論、血液を介して感染することもありません。
この病気は人にうつりますか?
- この病気は遺伝する病気ではありません。したがって兄弟姉妹でなることは極めてまれですし、遺伝子が同一の一卵性双生児の両方が罹患した例は知られていません。
この病気は遺伝しますか?
- 正確なことはわかりませんが、令和4年度の全国調査からは100人程度と推定されました。
現在、SSPEは日本にどのくらいおられますか?
- 麻疹にかからないことが最大の予防であり、麻疹ワクチンの接種が最良の方法と考えられています。事実、日本においても麻疹ワクチンの接種率が向上してから、SSPEの発症は激減しています。麻疹ワクチン接種が徹底している欧米ではほとんど発症していません。
この病気の予防法はありますか?
- 頭蓋骨に小さな穴を開けて、そこから細いチューブを脳室内に挿入します。チューブのもう一方の先端部を頭蓋骨外の皮下に埋め込みます(オンマヤ留置)。その部分からインターフェロンを注入します。
脊髄穿刺による髄腔内投与に比べて、そのつど針を刺す必要がないために本人の負担が少ないこと、二次感染の危険が少ないこと、脳室内のインターフェロンの濃度が高いこと、操作が簡単なため外来でも投与が可能であることなどの利点があります。
インターフェロンの脳室内投与はどのようにして行うのですか?
- SSPEの患者さんとその家族からなる「SSPE青空の会」という会があります。この会に連絡を取ってみることをすすめます。現在30家族くらいが参加しています。いろいろな情報を交換することができます。
(事務局:辻治仁 TEL 042-736-2028 e-mail sspe_aozora@hotmail.com)
(ホームページ http://sspe.main.jp/)
同じ病気の人や家族の話を聞きたいのですが?
- アメリカでは麻疹ワクチンが1978年に接種されるようになってから、麻疹の流行規模が著しく縮小し、SSPEが激減しました。イギリスでもワクチンが普及し、ほとんど発生はみられなくなりました。他の欧米先進国でも同じような理由により、患者発生は極めてまれです。これに対し、中東地域やアジア地域では今でも多くの発生があります。
SSPEの欧米での状況はどのようになっていますか?
- 疫学的には、女児より男児にやや多く、発症年齢は学童期に多いです。麻疹を1歳未満に罹患した場合にSSPEになる率は高くなります。 麻疹罹患時の麻疹の重症度とは関連がないとされています。
SSPEになりやすい傾向の人はいますか?
- 臨床症状とその経過、血液検査、髄液検査、脳波検査、画像検査等が特徴的な所見を示しますので、SSPEを疑うことが出来れば診断は比較的容易です。SSPEがほかの病気と診断されたり、ほかの病気がSSPEと診断されることもほとんどありません。しかし、病初期には、心因反応、精神病、てんかん、脳腫瘍などと診断されることがありますので注意が必要です。
SSPEの診断は難しいですか?
- 小児慢性特定疾患、難病特定疾患として承認されていますので、所轄の役所(保健所)に申請してください。
この病気は医療費の補助はありますか?
- 年齢にもよりますが、小児であれば小児神経科(小児神経専門医)、成人であれば神経内科(神経内科専門医)が適当と思われます。ただし、脳室内投与のためのオンマヤリザーバー留置を行うには脳神経外科的処置が必要になります。
この病気はどのような診療科がよいですか?