下垂体性成長ホルモン分泌亢進症(指定難病77)

かすいたいせいせいちょうほるもんぶんぴこうしんしょう
 

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下垂体性成長ホルモン分泌亢進症(先端巨大症)の診断に必要な検査はどのようなものですか?

症状や今までの病歴、診察の所見によって先端巨大症が疑われた場合には、まず血液検査で成長ホルモンやインスリン様成長因子(IGF-Ⅰ、ソマトメジンC:成長ホルモンで増える増殖因子)の血中濃度を調べます。さらに、MRIやCTの画像検査を行い、下垂体腫瘍の大きさや広がりを確認します。下垂体腫瘍が大きい場合には視力・視野障害や頭痛を起こすことがあります。成長ホルモンは血中濃度の変動が大きく1回だけの採血結果では判断が難しい場合もありますので、経口ブドウ糖負荷試験を行って成長ホルモンが十分低下するかどうかを見ます。また成長ホルモン以外の下垂体ホルモン分泌に異常がないかも調べます。そして合併症である糖尿病、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群、心疾患、手根管症候群、関節障害、大腸ポリープ・大腸癌や甲状腺癌、下垂体機能低下症などについての検査も重要です。

先端巨大症は治る病気ですか? 

手術で下垂体腫瘍が完全に取り除くことができ、成長ホルモンやインスリン様成長因子濃度が正常化した場合、治癒が期待できます。糖尿病や高血圧などの合併症も多くは軽快します。手術ができない場合や手術後に下垂体腫瘍が残存する場合には治癒は期待できませんが、薬物療法や放射線療法での治療が可能であり、成長ホルモンやインスリン様成長因子濃度が正常化した場合には症状、合併症と予後の改善が期待できます。薬物療法は長期の継続が必要です。また軽快しても、合併症を含めた経過観察のため定期的な受診をお勧めします。

悪性腫瘍の発生率が高いのは本当ですか?

先端巨大症では悪性腫瘍全体の発生率は一般人口の約1.5倍程度高いという疫学調査報告があります。特に大腸がんや甲状腺がん、乳がんなどに注意する必要がありますので、定期的に検査を受けましょう。

薬物療法は必要ですか?

成長ホルモン産生下垂体腫瘍が手術で完全に摘出され、正常下垂体に障害が無ければ、術後に薬物治療は不要です。しかし、腫瘍が残存しホルモンが正常化しない場合には薬物治療の継続が必要です。先端巨大症ではたとえ腫瘍がとりきれなくても、薬物療法でホルモンを正常化できれば健康な人と同様の予後が期待出来ます。薬物療法には毎月の注射、毎日の注射、経口剤などがありますが、担当医とよく相談し疾患の状態にあった最適の薬物療法を工夫する必要があります。また他の下垂体ホルモン分泌が低下している場合には、適切な補充療法が必要です。

 

情報提供者
研究班名 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和6年10月(名簿更新:令和6年6月)